7兆円買収か、業績悪化でも自社成長か?セブン&アイ決算発表

みんながよく知っているコンビニ「セブン-イレブン」を運営するセブン&アイ・ホールディングス。いま、大きな変化の時を迎えています。2024年度の決算では、営業利益が前の年よりも大きく減少しました。さらに、カナダの大手企業からの買収提案も受けており、会社の決断にも注目が集まります。

セブン&アイの決算内容と背景

売上は増加、しかし利益は減少
2024年度(2024年3月〜2025年2月)のセブン&アイの売上高は約11兆9727億円と、前年から4.4%増加しました。オーストラリアのコンビニを買収したことなどが好調の要因です。一方、営業利益は約4209億円で、前年から21.2%減少しました。売上は伸びたのに、利益が減った背景には、インフレや消費者の節約志向があります。

インフレと消費の落ち込み
アメリカではインフレと金利の上昇により、人々が買い物を控えるようになり、セブンのコンビニ事業が苦戦しました。日本でも物価上昇の影響はありましたが、後半には回復の兆しが見えてきました。

国内では改善の動きも
日本のセブン-イレブンでは、後半に既存店の売上や来店客数が前年を上回るようになりました。「うれしい値」などの値下げ戦略やカウンター商品の強化が成功したと見られます。

セブン&アイ・ホールディングス決算説明資料より
カナダ企業からの買収提案とは

ACTからの大型提案
カナダのコンビニ大手ACT(アリマンタシォン・クシュタール)は、セブン&アイの株を1株あたり約2700円で買い取り、総額約7兆円規模での買収を提案しています。これは現在の株価(1800〜1900円台)よりも高い金額です。

独占禁止法の懸念
もし買収が実現すると、アメリカ国内で両社の店舗が近接しすぎる可能性があり、独占禁止法に抵触するおそれがあります。そのため、セブン&アイはACTに対して約2000店舗の売却を求め、現在交渉が進められています。

単独路線と自社株買い

自社株買いで企業価値向上を狙う
セブン&アイは、ACTの提案に対抗する形で、単独成長をめざしています。その具体策として、2025年度に最大6000億円、2030年度までに合計2兆円の自社株買いを計画しています。スーパー事業の売却や、将来的な北米コンビニ事業の株式公開(IPO)で得た資金が活用される見込みです。

自社株買いの意味とは
自社株買いを行うと、市場に出回る株が減るため、1株あたりの価値が高まり、株主にとってはメリットがあります。セブン&アイは株価の上昇を通じて、買収を受けずとも企業価値を高められると示そうとしています。

5月の株主総会に注目

株主総会とは?
株主総会は、会社の経営方針や重要事項について株主が話し合う場です。セブン&アイも2025年5月に株主総会を予定しており、ここで買収提案や成長戦略についての議論が行われるとみられます。

買収提案の扱いは?
この総会でACTの買収提案についての説明がされる可能性があります。ただし、最終決定は取締役会で行われるため、総会で即決するとは限りません。

会社の未来を考える機会に
株主総会では、今後の経営戦略や事業方針、自社株買いの進捗なども説明されると見られます。株主たちがどう判断するかが、セブン&アイの未来を大きく左右することになります。

セブン&アイ・ホールディングス決算説明資料より
まとめ
  • セブン&アイの営業利益は前年より21.2%減少
  • アメリカ事業が苦戦し、日本では回復の兆し
  • ACTからの7兆円規模の買収提案が浮上
  • 自社株買いによる単独成長戦略を発表
  • 5月の株主総会が今後の方向性を左右する可能性

コンビニでの買い物は私たちにとって身近ですが、その裏では企業の大きな戦略や判断が関わっています。インフレや買収提案など、会社の経営には社会や世界の動きも影響します。「なぜこの商品は安いのか?」「この会社はどこを目指しているのか?」と考えてみることで、経済やビジネスの仕組みを理解する力が育ちます。これからのニュースにも注目してみましょう。

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