買収交渉は長期戦に?セブン&アイの方針は5月の株主総会で決定?
米国の全店舗一括売却を提案 セブン特別委、カナダ大手に|47NEWS(よんななニュース)
セブン&アイ・ホールディングスは10日、買収提案を受けているカナダのコンビニ大手のアリマンタシォン・クシュタールに対し、米国で展開する「サークルK」を含む全店舗の一括売却を提案したと発表した。買収提 ...
セブン-イレブンがどうなるのか、まだまだ結論は出ていません。
日本の大手企業セブン&アイ・ホールディングスが、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)から約7兆円規模の買収提案を受けています。しかし、セブン&アイはこの提案に対し、新たな条件を提示し、独占禁止法の問題をクリアするための対策を求めるなど、慎重に交渉を進めています。買収が実現するには、米国の独占禁止法をクリアする必要があり、これが大きな課題となっています。
買収提案の流れと現在の状況
2024年8月、ACTは最初の買収提案を行い、約6兆円(株価換算で約2,200円)を提示しました。
しかし、セブン&アイは『企業の本来の価値を低く見積もられている』としてこの提案を拒否しました。その後、ACTは約7兆円(株価換算で約2,800円)に引き上げて再提案。これは買収提案前の株価より約50%高い金額が提示されていることを意味します。
この状況の中、2024年11月には創業家である伊藤家の資産管理会社が、大手商社やメガバンクの力を借りた買収提案(MBO)を提出するという展開になりました。
しかし、この創業家による買収提案は2025年2月27日に正式に白紙となりました。セブン&アイの発表によると、伊藤家陣営から「買収に関する正式提案に必要となる資金調達の目途が立たなくなった」との連絡があったとのことです。伊藤忠商事が約1兆円の出資を見送る決断をしたことが大きな要因とされています。
アメリカの独占禁止法とその影響
買収の最大の課題は、米国の独占禁止法(反トラスト法:市場の競争を守るための法律)です。アメリカでは、セブン&アイとACTは店舗数で業界トップを争っています。このため、統合すれば市場の競争が制限される可能性があり、規制当局の審査が必要になります。
セブン&アイは、2024年3月10日に以下の条件をACTに提示しました。
- 米国内の重複する2,000店舗以上の売却を買収契約の前提条件とする
- 「サークルK」を含む全店舗の売却も選択肢として提示
一方、ACTも米国内での規制に対応するため、セブン&アイと協議を開始。具体的な売却店舗や買収後の対応策を模索しています。
セブン&アイの新経営体制と今後の方針
セブン&アイは、3月6日に新経営体制と自社成長戦略を発表。井阪隆一社長が退任し、新たにスティーブン・デイカス氏がCEOに就任しました。
デイカス氏は、「クシュタールの提案が企業価値を高めるかは不明。独占禁止法の審査に2年以上かかる可能性があり、株主にとって不利益になる」と発言。専門家の間では「時間稼ぎの戦略ではないか」との意見も出ています。これは、規制当局の審査に時間がかかることを利用して、セブン&アイが企業の価値を向上させたり、より良い条件で交渉を進めたりするための戦略と考えられています。

今後の展開
ACTは2024年3月13日に東京都内で記者会見を開き、買収計画や規制対応について説明する予定です。一方、セブン&アイは2025年5月の株主総会を目途に、買収提案を受け入れるか、自社成長路線を維持するかの最終決定を下す見込みです。
まとめ
- セブン&アイは、カナダ企業ACTから7兆円規模の買収提案を受けた
- 米国の独占禁止法が最大の障壁となっており、店舗売却の条件が提示されている
- セブン&アイは新CEOのもと、自社成長戦略を優先し、買収提案を慎重に判断
- ACTは3月13日に記者会見を開き、買収計画や規制対応策を説明予定
- 最終決定は2025年5月の株主総会で下される予定
今回の買収劇は、「M&A(エムアンドエー:企業の合併や買収のこと)」が企業の成長戦略としてどのように活用されるのかを学ぶ良い機会です。
企業は成長するために他社を買収することがありますが、独占禁止法などの法律が関係し、簡単には進められません。例えば、コンビニでいつも利用しているおにぎりやパンが、実は企業戦略の一環で新たなブランドと統合されることもあります。また、価格の変動やサービスの違いも、こうした企業の動きによって変わることがあります。
コンビニという身近な存在が、世界規模のビジネス戦略の中で動いていることを知ると、日常の買い物も違った視点で見えるかもしれません。

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