スティーブ・ジョブズが1ドル硬貨に登場!州ごとに描かれる革新の象徴

スティーブ・ジョブズ氏が「1ドル記念硬貨」に - CNET Japan

米国の記念硬貨の1つに、アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズ氏が描かれている。

「iPhoneの生みの親」として知られるスティーブ・ジョブズが、2026年にアメリカの1ドル硬貨のデザインになることが発表されました。でも、なぜ彼が硬貨に選ばれたのでしょうか。
私たちが普段使う硬貨や紙幣は、ただの支払い手段ではありません。それは、国の歴史や文化、そして「未来に伝えたい大切な価値観」を物語る小さな教科書でもあるのです。

なぜ?スティーブ・ジョブズが1ドル硬貨に

2026年に発行されるのは、「アメリカン・イノベーション1ドル硬貨」という特別なシリーズの1枚です。このシリーズは、アメリカの50州や領土が持つ「革新(イノベーション)」の歴史をたたえる目的で、2018年から毎年4種類ずつ発行されています。

カリフォルニア州が選んだ「発想の天才」

ジョブズが選ばれたのは、Appleが誕生したカリフォルニア州を代表する硬貨です。デザインには、若き日のジョブズが故郷の自然の中で思索にふける姿が描かれています。これは、彼の「複雑なテクノロジーを、誰もが直感的に使えるシンプルなものに変えたい」というビジョンが、カリフォルニアの豊かな環境から生まれたことを象徴しています。硬貨には「MAKE SOMETHING WONDERFUL(すばらしいものを作ろう)」という、彼の哲学を表す言葉も刻まれています。

アメリカでは当たり前?州ごとに違うデザイン

実は、アメリカで州ごとに違うデザインの硬貨が作られるのは、今回が初めてではありません。むしろ、これは国民に愛される伝統的な取り組みなのです。

大人気だった「50州25セント硬貨」
その代表例が、1999年から10年間にわたって発行された「50州25セント硬貨」シリーズです。このシリーズでは、各州の歴史や文化、自然を象徴するデザインが裏面に描かれました。

  • アラバマ州:奇跡の人、ヘレン・ケラーの肖像​
  • カリフォルニア州:自然保護の父ジョン・ミューアとヨセミテ国立公園​
  • ハワイ州:ハワイ王国を建国したカメハメハ1世と「アロハの州」の文字​
  • アラスカ州:鮭を捕まえるグリズリーベア​

https://kids.usmint.gov/about-the-mint/50-state-quarters

中央がヘレン・ケラー硬貨

これらの硬貨は、コレクションする人が1億人以上にのぼるほどの社会現象となりました。人々はお釣りで受け取った硬貨のデザインを確かめ、自分の出身州や旅した州の硬貨を集めることを楽しんだのです。

日本にもある!特別なメッセージを込めた記念硬貨

こうした記念硬貨の文化は、もちろん日本にもあります。日本の記念硬貨は、主に国の大きな出来事や文化的な節目を祝して発行されます。

  • 東京オリンピック記念硬貨(1964年)
    日本で初めて開催されたオリンピックを記念して発行されました。
  • 天皇陛下御在位60年記念硬貨(1986年)
    10万円金貨、1万円銀貨、500円白銅貨が発行され、大きな話題を呼びました。
  • 地方自治法施行60周年記念貨幣(2008年~2016年)
    アメリカの州別硬貨のように、47都道府県それぞれのシンボル(北海道のラベンダー畑、京都の金閣寺など)がデザインされ、人気を集めました。
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック記念貨幣(2018〜2021年)
    日本のスポーツ選手や競技、桜と富士山などの日本文化をモチーフにしたデザインが使われました。一般流通する500円硬貨と、記念販売用の銀貨や金貨が発行されています。

このように、日米ともに硬貨は単なるお金としてだけでなく、歴史や文化を次世代に伝える「語り部」としての役割も担っているのです。

まとめ
  • スティーブ・ジョブズの1ドル硬貨は「イノベーション」を象徴する記念シリーズの一部
  • アメリカでは州ごとの硬貨が国民的ブームを巻き起こした
  • 日本でも、歴史や文化を伝える記念硬貨が多く発行されている
  • 硬貨には国が大切にする価値観や未来への願いが刻まれている

今回取り上げたスティーブ・ジョブズは、テクノロジーで世界を大きく変えました。彼のように、一つの「発想」が新しい産業を生み出し、経済を動かし、人々の暮らしを一変させることがあります。硬貨に刻まれた数々のイノベーションは、そうした過去の挑戦者たちの物語です。
では、もしあなたが未来の日本の記念硬貨をデザインするとしたら、どんな人物や出来事、技術を選びますか?「令和のイノベーション」として何を刻むか考えてみると、私たちが今生きる時代の価値や、未来の社会の姿が見えてくるかもしれません。