パンダが消える日:中国との外交と動物園の再出発
街からパンダが消えたら アドベンチャーワールドのパンダ見られるのもあとわずか パネル置く動物園も 地元経済大きな影響 貸与は中国次第|FNNプライムオンライン
街からパンダがいなくなると一体どうなるのか?飼育しているパンダが全頭中国に返還されることになった和歌山県白浜町。先にパンダがいなくなった町を取材をすると、その影響の大きさが見えてきた。秦令欧奈アナウンサー:あー!いました!中国への返還が決まったジャイアントパンダです。あー!転がっている!転がっているパンダが!パンダが前転をしている!29日も、大勢の人が詰めかけたアドベンチャーワールド。来場者:パンダちゃーん!!大阪からの来場者:パンダが帰っちゃうって聞いたんで…老後は白浜に別宅みたいなの(を買…
動物園の人気者「パンダ」が突然いなくなったら、町や動物園、さらには日本と中国の関係にどんな変化が起こるのでしょうか。
2025年6月、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドにいた4頭のパンダが中国に返還されることが決まりました。この返還により、日本でパンダを見られる動物園は東京の上野動物園のみになりますが、その上野のパンダも2026年2月までに中国へ戻る予定です。
パンダ返還の背景や影響、そしてこれからの動物園と地域社会の動きについて見てみましょう。
パンダはなぜ中国に返還されるのか?
パンダは中国の「貸し物」
日本の動物園で飼育されているパンダは、すべて中国からの「貸与」という形でやってきています。所有権は中国にあり、契約期間が終了すると返還される仕組みです。
これは、パンダが絶滅の危機にある動物であり、ワシントン条約によって商業目的の取引が禁止されているためです。日本で生まれたパンダも、親が中国からの貸与であれば、一定の年齢になると中国に返される決まりです。今回の返還も、契約の満了によるものです。
パンダ外交という中国の戦略
パンダの貸与は「パンダ外交」と呼ばれ、中国が親交を深めたい国にパンダを貸し出すことで関係強化を図る戦略です。
1972年、日中国交正常化をきっかけにパンダが日本へ贈られました。近年は、貸与停止や返還が両国の関係の冷え込みを示す指標ともなっており、パンダは外交のシンボルとされています。
パンダがいなくなることで動物園と町に起こる変化
パンダの存在が地域経済を支えていた
パンダは動物園の象徴であり、多くの来園者を引きつけてきました。アドベンチャーワールドや上野動物園では、パンダ目当ての来園者が年間数百万人にのぼり、地元の宿泊施設や土産店も活気づいていました。しかしパンダがいなくなると、来園者数が減り、地域の経済活動に影響が出ることが予想されます。実際に、過去には神戸市立王子動物園でパンダ返還後に来園者が約2割減少した例もあります。
新たな魅力の創出に挑戦
パンダがいなくなったあとも、動物園や町は新しい魅力を発信しようと努力を重ねています。
たとえば、パンダに関する写真展示や記念グッズ販売のほか、温泉地や世界遺産・熊野古道といった地域資源の発信が進んでいます。また「ワーケーション」と呼ばれる、仕事と休暇を組み合わせた観光スタイルも注目されており、動物園も他の希少動物や教育プログラムの充実で来園者獲得を目指しています。

パンダ返還は日中関係にも影響する?
パンダの返還は外交のサイン
パンダの返還や新たな貸与が行われるかどうかは、日中の外交関係や国際情勢に大きく左右されます。中国はパンダを「外交カード」として活用しており、返還や貸与停止は両国関係の変化を反映しているとも言えます。今後、日本に再びパンダが来るかどうかは、両国の交渉次第です。
最近では、茨城県などが新たなパンダ誘致を目指して動き始めていますが、現時点で中国側からの明確な回答はありません。世界的にもパンダの貸与先は厳しく選ばれており、アメリカやヨーロッパでも返還が相次いでいます。
まとめ
- パンダは中国からの貸与であり、契約終了後に返還される
- パンダがいなくなると動物園や地域経済に影響が出る
- パンダ外交は中国の対外戦略の一環であり、日中関係を映し出す
- 動物園や町は、新たな魅力で来訪者を呼び込もうとしている
- 再び日本にパンダが来るかどうかは、外交交渉の行方次第
パンダがいなくなったあと、動物園や町は工夫を凝らしながら再出発をしています。「動物=かわいい」だけではなく、その背後にある国際関係や経済へのつながりを知ると、ニュースの見え方も変わってきます。
ぜひみなさんも、近くの動物園で見られる動物がどこから来たのか、なぜその場所にいるのかを考えてみてください。そこから世界の仕組みを知る第一歩が始まるかもしれません。