一瞬の投稿が人生を変える!バイトテロが残す“デジタルタトゥー”

ラーメン「魁力屋」“卵キャッチボール”動画拡散 バイト従業員に運営元「法的措置」示唆…“悪ノリ”の重すぎる代償とは【弁護士解説】 | 弁護士JPニュース

京都発、こってりスープの醤油ラーメンで人気のチェーン「京都北白川ラーメン魁力(かいりき)屋」堺新金岡店(大阪府堺市)の厨房で、閉店後にアルバイト従業員2人が廃棄間際の食材である卵をキャッチボールする様子を撮影した動画が、SNSに投稿され、拡散さ...

SNSの普及によって、アルバイトによる不適切な動画投稿、いわゆる「バイトテロ」は今もなくなりません。2021年には焼き肉店での不衛生な行為が炎上し、2024年には大手ピザチェーンで生地に指をこすりつける動画が拡散されました。
2025年10月には人気ラーメン店「魁力屋」で卵をキャッチボールする動画が投稿され、企業が法的措置を検討する事態に。その他ドトールコーヒー店でも不適切動画が拡散し、企業が謝罪しました。
SNSの発信力が、“悪ふざけ”を一気に全国へ広めてしまう時代です。

経済的損失と法的責任の実態

2020年以降、企業が受けた損害は深刻です。2023年のスシロー事件では約6,700万円の損害賠償請求が行われ、2025年の高級焼肉チェーンでは株価が27億円下落しました。
刑法では「信用毀損罪」や「業務妨害罪」に問われ、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。和解金が200万円前後に及ぶ事例もあり、「ちょっとした動画」が大きな損害を生む現実が見えてきます。

事件・店舗名内容影響・損失処分・対応
2023年スシロー(回転寿司)客がしょうゆ差しを舐める動画を拡散売上減・信用失墜約6,700万円の損害賠償請求、和解
2023年しんぱち食堂 宇都宮店従業員が寸胴鍋の液体を口に流し込む動画炎上・営業停止関係者解雇、会社が謝罪
2024年ドミノ・ピザ尼崎店ピザ生地に不衛生行為店舗営業停止即日謝罪・解雇
2025年5月高級焼肉チェーン厨房で不適切行為株価27億円下落従業員処分・調査委員会設置
2025年10月魁力屋(大阪堺店)卵をキャッチボール信頼低下・営業影響懲戒解雇・損害賠償請求
2025年10月ドトールコーヒー店舗内で不適切動画ブランド価値損失謝罪文公表・再発防止策発表
バイトテロがなくならない理由

専門家は、バイトテロが続く背景に「SNS時代の自己顕示欲」「職場への不満」「モラル教育の不足」を挙げています。スマホ一つで世界に発信できる便利さが裏目に出ており、「注目されたい」「ウケを狙いたい」という心理が暴走するケースもあります。
こうした行為は一瞬の快楽でも、社会的信頼を失う代償は大きいのです。

アルバイトにも問われる法的責任

アルバイトだからといって責任が軽くなることはありません。勤務中の不法行為は正社員と同じく損害賠償や刑事責任を負います。「バイトだから大丈夫」という考えは誤りで、行動の結果は将来の就職や進学にも影響します。
SNSに投稿された動画や画像は「デジタルタトゥー」として一生残るため、軽率な行動が長く自分を苦しめることもあります。

企業が進める再発防止策

企業では、アルバイトを含む全従業員にSNSリテラシー教育を行う動きが広がっています。勤務中のスマートフォン使用制限や、炎上時に迅速に対応するための「危機管理マニュアル」の整備も進んでいます。企業の信頼を守るためには、従業員一人ひとりの意識改革が欠かせません。

まとめ
  • SNSの拡散力で「バイトテロ」は今も発生している
  • 損害賠償や刑事罰など法的責任は重い
  • アルバイトでも社員と同じ責任を負う
  • SNSリテラシー教育と職場改善が防止のカギ

スマホで撮った一瞬の「悪ふざけ」が、会社の経営を揺るがすことがあります。SNSは便利な一方で、誰かを傷つけたり、信用を失わせたりする力も持っています。
もし友達が「面白い動画を撮ろう」と言ったら、あなたはどうしますか?責任ある行動とは何か、信頼を守るとはどういうことか。家庭で一度話し合うことで、SNSとの向き合い方が変わるかもしれません。