年収400万円も夢じゃない?パート時給2,000円超え時代
「しまむら」のパート時給が2000円超!? “低給正社員”より「年収500万円の非正規」が選ばれるエゲツない未来 | 今週もナナメに考えた 鈴木貴博 | ダイヤモンド・オンライン
「しまむら」のパート時給が2000円超え――。一部の大手チェーンでは、フルタイムで働けば「年収400万円」、近い将来には「年収500万円」も視野に入る「勝ち組非正規」が生まれつつあります。一方で、多くの企業で正社員の賃金が伸び悩んでいる現…
「しまむら」や「イオン」などの大手チェーン店で、パート従業員の時給が2000円を超える時代がやってきました。
しまむらでは平均時給2,163円と、正社員よりも高いケースも珍しくありません。フルタイムで働けば年収400万円、将来的には500万円も視野に入る「勝ち組非正規」が誕生しています。なぜこのような劇的な変化が起きているのでしょうか。
若者人口の減少や制度変更など、社会の大きな流れも併せて考えてみます。みなさんはどんな働き方を選びたいですか?
パート時給が2000円を超える現実
しまむらの驚きの時給水準
しまむらのパート従業員の平均時給は2,163円となっています。これは最低賃金の約2倍の水準で、一般企業の正社員の時給に匹敵します。フルタイムで働くと年収は約434万円となり、従来の「パート=低収入」という常識を覆しています。
イオン系列も高時給競争に参戦
イオンが展開する「まいばすけっと」では、早朝・深夜の時給が1,800円、それ以外の時間帯でも1,430円と高水準です。
このように、大手チェーン店全体でパート時給の上昇が続いています。
正社員を上回るパート収入
従来は正社員の方が収入面で有利とされていました。しかし現在では、大手チェーンのパート従業員が中小企業の正社員よりも高収入を得るケースが増えています。この「逆転現象」は、日本の雇用常識を根底から変えています。
時給上昇の3つの背景要因
要因1:若者人口の激減
日本の20代人口は、30年前と比べて約30%減少しています。2025年現在、20代の人口は約1,279万人ですが、50代は1,836万人となっています。今後10年でさらに20%減少し、20年後には34%減少することが確実視されています。
この人口減少により、企業は人材確保のために時給を上げざるを得なくなりました。特にチェーン店ビジネスは若い労働力に依存していたため、その影響は深刻です。
要因2:「年収の壁」制度の変更
2025年から、所得税がかからない「年収の壁」が103万円から160万円に引き上げられました。これにより、パート従業員はより多くの時間働けるようになりました。
一方で、106万円の壁の撤廃により、社会保険の加入条件も変化しました。この変更により、短時間高時給の働き方を選ぶ人も増えています。
要因3:団塊ジュニア世代の引退
現在50代の団塊ジュニア世代(約1,836万人)が、今後10年間で次々と再雇用に移行します。この世代の人件費削減により生まれた財源が、若いパート従業員の時給上昇に活用されています。
社会への影響と今後の展望
中小企業への厳しい現実
時給を上げられない中小企業は、人材確保がますます困難になっています。大手チェーンとの採用競争で劣勢に立たされ、事業継続に影響を与える可能性があります。
新しい働き方の選択肢
高時給パートの登場により、働く人の選択肢が広がりました。フルタイムで年収400万円を目指すか、短時間で税金や社会保険料を抑えるかなど、多様な働き方が可能になっています。
5年後の予測
専門家は、今後5年間でパート時給がさらに上昇し、年収500万円も現実的になると予測しています。この変化は、日本の雇用システム全体を大きく変える可能性があります。

関連ニュースの紹介
2025年4月、日本の人口は1年間で約90万人減少し、過去最大の減少幅を記録しました。少子高齢化の進行が、企業の人手不足や賃金上昇に直接的な影響を与えています。また、政府は外国人労働者の受け入れ拡大も検討していますが、根本的な解決には時間がかかると予想されています。
まとめ
- しまむらやイオンでパート時給が2,000円を超える時代が到来
- 若者人口の30%減少が時給上昇の主要因
- 「年収の壁」制度変更で働き方の選択肢が拡大
- 団塊ジュニア世代の引退が財源確保に貢献
- フルタイムパートで年収400万円、将来は500万円も可能
- 中小企業は人材確保がより困難に
パート時給の上昇は、労働市場の需給バランスが変化した結果です。これは経済学の基本原理である「需要と供給」の典型例といえます。企業は限られた労働力を確保するため、より高い「価格」(時給)を提示しているのです。
みなさんも、将来の働き方を考える際は、単に時給の高さだけでなく、社会保険や税金の仕組み、そして自分のライフスタイルに合った働き方を総合的に判断することが大切です。また、人口減少や技術革新など、社会の変化にも注目してみてください。これらの情報を自分で調べ、将来の選択肢を広げていくことで、より良いキャリアを築けるでしょう。