日産が直面する過去最大の赤字!資金繰りの危機とその影響

日産、巨額赤字で資金繰り厳しく 7千億円規模、技術投資に支障も|47NEWS(よんななニュース)

 日産自動車の2025年3月期連結純損益は7千億円規模の赤字見通しとなり、資金繰りは厳しさを増しそうだ。25年度中には関連会社含め総額約7800億円(24年3月末時点)もの社債が償還期限を迎える。日産 ...

日本を代表する自動車メーカーの「日産」に、今いったい何が起きているのでしょうか。過去最大級の赤字になるという予想が話題になっています。

日産が直面する「赤字」や「資金繰り」の課題、そして「中国市場」での苦戦について考えてみましょう。さらに、ライバルである「トヨタ」や「ホンダ」と比較しながら、日本の自動車産業が抱える課題や、EV(電気自動車)時代の未来を探ります。

日産が直面する巨額赤字と資金繰りの課題

なぜ記録的な赤字になったのか

日産自動車は、2025年3月期に約7000億円から7500億円もの赤字を計上する見通しです。これは1986年以降で最大規模の赤字です。その主な原因は、世界的に自動車の販売が伸び悩んだことです。特に「中国」や「アメリカ」といった主要市場での不振が大きく影響しました。

売上が減少すると、工場の稼働率も低下します。その結果、工場資産の価値を見直す必要が生じました。これを「減損損失」と呼び、約5000億円の損失が発生しました。さらに、経営立て直しのための構造改革費用も約600億円かかり、赤字が拡大しました。

資金繰りの厳しさ

日産の自由に使える資金(ネットキャッシュ)は、2024年末時点で約1兆2400億円にとどまります。トヨタの14兆円、ホンダの約3兆8000億円と比べると、大きな差があります。

さらに、2025年度中には約7800億円分の社債返済期限が到来します。信用格付けの低下もあり、新たな資金調達が難しくなる懸念も出ています。EVやソフトウェア開発への巨額投資も必要であり、資金確保が大きな課題となっています。

中国市場での苦戦と事業再建の動き

競争激化と工場撤退
世界最大の自動車市場である中国でも、日産は苦戦しています。現地のEVメーカー、例えばBYDなどが急成長し、競争が激化しました。その結果、日産の中国での販売台数は2018年の半分以下に落ち込みました。

こうした中、日産は2022年に稼働したばかりの武漢工場での生産を、2025年度中に終了する方針を決めました。この工場は年30万台の生産能力がありましたが、実際の生産は1万台程度にとどまっていました。すでに常州工場も生産を停止しており、中国での生産体制を縮小しています。

今後の中国戦略

とはいえ、日産は中国市場から完全撤退するわけではありません。2026年末までに約2000億円を追加投資し、2027年夏までに新型EVを含む新エネルギー車(NEV)9車種を投入する計画です。また、中国から年間10万台を海外へ輸出することも目指しています。

トヨタ・ホンダとの比較に見る日産の課題

企業規模と収益力の違い
トヨタ、ホンダ、日産は日本を代表する自動車メーカーですが、企業規模と収益力に大きな差があります。トヨタは売上高、純資産、利益率すべてにおいて他社を大きく上回り、経営の効率性でもリードしています。

グローバル戦略と市場依存度
トヨタは国内外バランスよく展開しており、一部市場に依存するリスクを減らしています。一方、ホンダと日産はアメリカと中国への依存度が高く、これが経営リスクを高める要因となっています。

技術開発とEV競争
かつて「技術の日産」と呼ばれた日産ですが、近年はEV開発で中国勢に後れを取っています。e-POWERなど独自技術もありますが、トヨタやホンダと比較すると苦戦しています。最近では、日産とホンダが次世代電池開発で協力する動きも報じられています。

EVシフトで変わる自動車産業

なぜEVが重要なのか
地球温暖化対策として、世界中でガソリン車からEVへの転換が進んでいます。EVは走行時に二酸化炭素を排出せず、クリーンな未来社会に欠かせない存在です。しかし、その開発と生産には新しい技術と巨額の投資が必要です。

激化する開発競争
EVシフトは自動車業界全体に大きな変革をもたらしています。中国メーカーだけでなく、新興企業も参入し、競争はますます激化しています。日産もEV開発を進めていますが、資金繰りの課題を乗り越えられるかが今後の鍵となります。

最近では、アメリカの政治状況により、日本車への関税が強化される可能性も報じられています。また、世界中で新たなEVメーカーが次々と登場しており、競争環境は一段と厳しくなっています。

まとめ
  • 日産は世界的な販売不振と資産減損により、過去最大級の赤字見通し
  • 資金繰りの厳しさから、社債償還とEV開発資金確保が大きな課題
  • 中国市場での競争激化に対応し、生産体制を見直す
  • トヨタ・ホンダと比較すると、企業規模、収益力、市場リスク分散、技術力に差がある
  • 自動車産業は、EVシフトという大きな転換期を迎える

今回の日産の状況は、一企業の経営問題にとどまらず、自動車産業全体、ひいては世界経済の変化を映し出しています。
もしあなたが日産の経営者なら、どんな戦略で未来に挑みますか?新しい技術やサービスで、どのように差別化を図るべきでしょうか?トヨタやホンダの強みをどう参考にするかも、考えてみてください。