過払い金ビジネスの覇者「アディーレ」：モームリ事件後に退職代行ビジネス参入

2025年秋、「退職代行モームリ」運営会社が弁護士法違反疑いで警視庁の家宅捜索を受けたことで、退職代行業界に激しい地殻変動が起こりました。
この騒動の直後、アディーレ法律事務所が退職代行サービス市場へ本格参入。アディーレは過去にも、経済的・社会的ニーズが高まるたびに目敏く注力分野をシフトし、事業を拡大してきた実績があります。今回の記事では、モームリ事件を契機としたアディーレのシェア獲得戦略、その背景と仕掛けに焦点を当てて事実だけで解説します。​​

アディーレの「旬を狙う」事業戦略

アディーレ法律事務所は2000年代後半、貸金業者との「グレーゾーン金利」問題を受けて“過払い金返還請求”ビジネスに膨大なリソースを投入。テレビCMや全国規模の拠点展開で、社会的関心が高まった時期に集中的に専門チームを設置し、不況下でも利益をあげてきました。
この「過払い金バブル」の波が落ち着くと、次は交通事故、B型肝炎訴訟、相続問題など、新たな社会的課題・法改正のたびに注力事業を柔軟に切り替える手法で成長しています。​

アディーレはこうしたタイムリーな分野選定を経済合理性も踏まえ、広告投資・専門人材の集中配置によって一気に市場シェアを獲得することを得意としています。

モームリ事件が生んだ「退職代行」新時代

2025年10月、「モームリ」運営会社の摘発は、民間退職代行業者の弱み―法的交渉ができないという根本的な制約―を改めて社会に示しました。有給取得や残業代請求など、より複雑な労働条件交渉が求められる現場で、資格のない業者では安全に対応できない現実が明確化します。​

アディーレはこの事件直後に、「弁護士による退職代行サービス」を正式に展開。モームリ事件の社会的不安を背景に、“弁護士資格による安全性”を前面に訴えることで、業界内での認知を一気に拡大しています。
実際に、ウェブサイトや広告では「非弁行為リスクなし」「有給休暇・未払賃金など交渉まで100％合法」を強調し、他の民間業者との差別化を加速させています。​

シェア獲得の流れと今後

退職代行業界は、モームリ事件以降「通知のみ型サービス」へ業者がシフトし、交渉可能な弁護士事務所型が急速に主役へと入れ替わっています。アディーレは、全国60超の拠点ネットワークや“困った時は弁護士”のメッセージで全国的なブランド力を活かし、「退職代行も弁護士へ」という新基準を作ろうとしています。​

過去の過払い金分野やB型肝炎訴訟の時と同様、社会的ニーズ・法改正・他社の弱みに乗じて、アディーレは市場主導権の獲得を目指しています。現状「返金制度」「トラブル時の裁判代理」など安全面が徹底されたサービスにより、利用者の安心志向を捉えているのが特徴です。​

まとめ

• アディーレは「収益性・注目度の高い分野」に、毎回タイムリーに注力・事業シフトしてきた
• モームリ事件（非弁行為疑い）を契機に、退職代行サービスへ本格参入
• 弁護士資格による法的交渉・トラブル時の裁判対応で、他業者との差別化・安心感を訴求
• サービス品質・安全性の高さを武器に、業界内で急速にシェア拡大中
• 社会ニーズの変化ごとに、柔軟に専門分野を切り替えて規模成長したことが過去の事実である

「会社を辞めるにも、どんなサービスを頼れば安全？」といった実際的な問いについて、家族や友人と事件の経緯や業界の変化を話し合う時間を持ってみてください。
「世の中の大きな問題がサービス選択やビジネスの形をどう変えているか」「弁護士資格や専門性の大切さはなぜ生まれるのか」といった視点で、社会・経済の仕組みに理解を広げるきっかけにしてみましょう。