アメリカ関税は違憲!トランプ政権と裁判の攻防戦
トランプ関税は幻に?あれもこれも「法的根拠がない」との判決(米貿易裁) | ギズモード・ジャパン
日夜せっせと関税を上げたり下げたりしているトランプですが…。4月にどっちゃり発表されたトランプ関税はそのほとんどが法的根拠希薄であることがわかり、5月下旬、米国際貿易裁判所に発動をブロックされちゃいました。 「関税引き上げは国会が決めることであって、大統領に決める権限はない」との司法判断です。大統領は「麻薬や不法移民が流れ込んでアメリカやばい」と騒いで非常事態を宣言、非常時に大統領裁量で貿易を規
アメリカのトランプ大統領が発動した「トランプ関税」が、国内外で大きな議論を巻き起こしています。
海外からの輸入品に課されるこの追加関税は、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠としていますが、米国際貿易裁判所は「大統領の権限を逸脱している」として違法判決を下しました。政権はただちに控訴し、関税措置は一時的に維持されています。
この問題は、政治と司法、経済が複雑に絡み合う重要なテーマです。私たちの生活や世界の物価にも影響するこの裁判の背景と、政策の流れを見ていきましょう。
トランプ関税の発動と拡大の経緯
主なタイムライン(2024年~2025年前半)
- 2024年11月25日:トランプ大統領は、不法移民や薬物対策を理由に、就任日にメキシコ・カナダへ25%、中国へ10%の関税を課すと発表。
- 2025年1月20日:就任当日は関税発動を見送り、2月1日に再発動を宣言。
- 2月1日~4日:IEEPAに基づき、メキシコ・カナダへ25%、中国へ10%の追加関税を発動。中国は報復関税で応戦。
- 2月10日:通商拡大法232条を根拠に、鉄鋼・アルミニウム製品に25%の関税を追加。
- 3月4日:中国・カナダ・メキシコへの追加関税を強化し、各国も報復措置を実施。
- 4月2日:すべての貿易国に10%の「相互関税」を発表。貿易赤字の大きい国には上乗せ(中国34%、日本24%など)。
- 4月5日~9日:一律10%関税を実施。60か国・地域に追加関税を拡大。
- 5月30日:鉄鋼・アルミニウムの関税を50%に引き上げると発表(232条に基づく)。
裁判とその争点
IEEPA関税に違法判決
- 5月28日:米国際貿易裁判所が、IEEPAに基づく関税を「大統領権限の逸脱」として差し止め。
- 判決の根拠:IEEPAは国家安全保障上の明確な脅威がある場合に限定して権限を認めているが、今回の「報復関税」や「薬物対策」は該当しないと判断。
- この訴訟は、民主党系12州と複数の中小企業によるものでした。
控訴と今後の法廷闘争
- 政権はただちに控訴。翌日には連邦巡回控訴裁判所が下級審の差し止め命令を一時停止。
- 当面、関税措置は維持される見込み。6月5日までに原告側、6月9日までに政権側の意見書が提出予定。
- なお、通商拡大法232条や通商法301条に基づく関税(鉄鋼・アルミなど)は今回の判決の対象外です。
関税政策がもたらす影響
企業・消費者への影響
- 急な関税変動は企業の経営判断に影響を与え、価格転嫁によって最終的に消費者の負担増となります。
- 特に輸入原材料を多く使う業種では、生産コストが大幅に上昇しています。
世界経済への波紋
- OECDは、関税政策の影響で世界の成長率が鈍化すると予測。
- アメリカ国内でも「TACOトレード(Trump Always Chickens Out)」と呼ばれる現象が広まり、投資家の不安定な心理を表しています。
- 「TACOトレード」は、「トランプはいつもひよって引っ込める(Trump Always Chickens Out)」の略で、強気な発表をしても結局後から撤回することが多いという意味です。この言葉は、政策の不安定さに振り回される投資家の不信感を表現しています。

今後の注目点
- IEEPAによる大統領権限の範囲が改めて問われる今回の裁判は、今後の通商政策に大きな影響を与える可能性があります。
- 裁判の行方次第では、政策が見直される可能性もあり、連邦最高裁まで持ち込まれる可能性もあります。
- 経済の先行きが不透明ななか、企業や消費者は慎重な判断を迫られています。
まとめ
- トランプ関税は2025年初頭から急速に拡大され、複雑化している
- IEEPAを根拠とした関税は違法と判断されたが、控訴により一時停止中
- 裁判の対象外となった関税(232条等)は今も適用されている
- 政策の不透明さが企業活動や家計に影響を及ぼす
- 世界経済にも波及し、成長率の低下や市場の混乱が続く
関税や貿易のルールは、私たちの生活に密接につながっています。価格がなぜ上がるのか、なぜ企業が困っているのかを知ることで、ニュースをより深く理解できます。あなたがリーダーだったら、世界の国とどのような貿易ルールを作りますか?ぜひ考えてみてください。