「高市トレード」で円安が進む?高市新総裁の経済政策と日本のインフレ
「高市トレード」で円安加速、注目集める政府・日銀の為替介入ライン - Bloomberg
外国為替市場で円安が加速し、対ドルで心理的節目の155円が視野に入る中、投資家の間では政府・日本銀行が為替介入に踏み切る水準がどこになるのかに注目が集まっている。
2025年10月、自民党の新しい総裁に高市早苗氏が選ばれ、「高市トレード」という言葉がニュースをにぎわせています。株価は上昇し、外国為替市場では1ドル=152円台まで円安が進みました。
政治の変化が、なぜここまで経済や私たちの生活に影響を与えるのでしょうか。
「高市トレード」って何?なぜ円安になるの?
「高市トレード」とは、高市氏の経済政策に期待して投資家が「日本株を買い、円を売る」動きを指します。高市氏は、景気を良くするために政府が積極的にお金を使う「積極財政」を掲げています。
投資家は、「政府がお金をたくさん使えば、日銀は金利を上げにくい」と考えます。金利が低いままだと、円を持っていても得られる利益が少ないため、より高い金利のドルなどを買う動きが強まります。その結果、円を売る人が増えて円安が進むのです。

みんかぶより
物価が上がっているのに、なぜ金利を上げないの?
通常、物価上昇(インフレ)を抑えるには、中央銀行が金利を上げる「金融引き締め」を行います。金利を上げるとお金を借りにくくなり、経済の熱が冷めて物価の上昇が落ち着くからです。
しかし、高市氏は金融緩和の継続を支持しています。それは、今の日本のインフレが「悪いインフレ」だからという考えからです。
インフレには2種類ある
インフレ(物価上昇)には大きく2つのタイプがあります。
- 良いインフレ(ディマンドプル・インフレ)
景気が良く、給料が上がり、「モノを買いたい」という人が増えることで起こるインフレです。企業の利益も増え、経済が元気になります。 - 悪いインフレ(コストプッシュ・インフレ)
原材料やエネルギー価格の上昇などで、モノの値段が上がるタイプのインフレです。給料が上がらないまま生活費が増えるため、家計に負担がかかります。
現在の日本は、円安や海外の資源高の影響で輸入品の価格が上がる「悪いインフレ」が中心です。
高市氏は、この状況で金利を上げると企業が資金を借りにくくなり、景気が悪化するリスクがあると考えています。そのため、減税や補助金といった財政政策で物価高に対応する方針を示しています。
今後の注目ポイント
円安と物価の動きを理解するために、次の2点に注目しましょう。
- 為替介入の動き
円安が急に進むと、政府や日銀が「円を買ってドルを売る」為替介入を行うことがあります。市場では1ドル=155円前後が目安では、と考えられています。 - 日本銀行の金利政策
日銀が金利を上げるかどうかが、今後の円相場を左右します。利上げすれば円高に、見送れば円安が進む可能性があります。高市氏の政策が日銀の判断にどう影響するのか注目です。

関連ニュース
2025年10月初旬、政府は燃料費や電気代の補助を延長する方針を検討していると報じられました。
一方で、アメリカでは高金利政策が続き、ドルが強い状態です。こうした国際的な動きが、円安をさらに後押ししています。
まとめ
- 高市氏の積極財政が、投資家の「円売り・株買い」を促し円安を進めた
- 現在の日本は、輸入コスト上昇による「悪いインフレ」が中心
- 日銀は景気悪化を避けるため、金利引き上げに慎重な姿勢を保っている
- 今後は為替介入と金利政策の動きに注目が集まる
ニュースの背景には、いつも「お金の流れ」と「人の行動」があります。お菓子や日用品の値段が上がったとき、「これは円安の影響?それとも原材料費の上昇?」と考えてみましょう。経済ニュースを自分の生活と結びつけて考えることで、ニュースの意味がぐっと深まります。家族や友達と「円高になったらどうなるのか?」を話し合うのも良い学びになります。