熊本 TSMC進出で土地の値段も上がっている
前回、熊本でTSMCという半導体を作る工場ができるということで、時給が上がっているという良いニュースをお伝えしました。働く人がふえて、時給が上がれば周りのお店ももうかって、熊本の経済が元気になるというお話でした。
しかし、良いことばかりではないかもしれない、というニュースがこちらです。
熊本県大津町は、今年、地価(土地の値段)がなんと32.4%も上がり、日本一の上昇率となりました。熊本県大津町は、この台湾の半導体メーカーTSMCの工場ができる場所の近くです。工場ができる熊本県菊陽町や、この大津町などのまわりの町では、いまマンションがたくさん建設中です。ひっこしてきたこどもたちも多くいます。
需要と供給。土地を買って、マンションなどを立てたい会社がふえると、土地の値段が上がります。工場で働く人たちが住むためのマンションを作りたい会社がふえて、土地の値段は大きく上がっています。
熊本市で人気のラーメン屋さんも、工場ができる菊陽町に移ってきました。人が多いから、今まで店があった熊本市よりも、もっともうかるのではという期待からです。

こう見ると経済が成長しそうで、とてもいい話に見えます。ですが、土地の値段が上がることで、工場ができる前からあるお店は家賃があがる可能性が高くなっています。家賃が上がれば、上がった分以上の売上がないとお店がもうかりません。
地元で愛されていた青果店さんも、9月末でお店を閉めることにしました。家賃が高くなるのなら、お店をやっていけなくなるからです。
新しいお店ができたり、人がふえたりする一方で、昔からあるお店がなくなる。経済の成長は、こんなふうに良いこともそうでないことも同時に起こすということを、これからの熊本の成長を見るときに学ぶことができるのではないでしょうか。
記事作成者

- Progress CFO / こども未来投資プロジェクト 代表理事
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外国語大学卒業後に学習塾小中学文系/高校英語講師、パソコン教室インストラクター/営業を経て、2006年に外資系産業ガス会社に入社。以降16年以上、複数企業にて財務経理責任者やCFOを歴任。現在も複数企業の会計アドバイザー等を務める。
こどもの金融リテラシー講座 CA$H! 講師/カリキュラム・テキスト作成。
2023年11月30日に「キッズノミクス クイズで学ぼう、お金と経済」を発売。
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