デイトレーダーからアクティビストまで、株主ってどんな人たち?

個人投資家は「ファン・安定株主」ではない? アクティビストらの株主提案に5割が「なんとなく」賛成 | Business Insider Japan

個人株主は「長期保有の安定株主」「(企業の)ファン」というのは、企業側の思い込みかもしれません。個人投資家ら2000人超に調査したところ、意外な結果になりました。

株主総会での決定は企業の未来に大きな影響を与えます。個人株主たちはどのようにその提案に対応しているのでしょうか。調査によると、アクティビスト株主からの提案に賛成する個人株主が多いものの、その理由はあまり深く考えられていないことがわかりました。今回は、個人株主の株主提案に対する姿勢について、中学生にもわかりやすく解説します。

アクティビストとは?

アクティビストとは、企業に対して積極的に意見を述べる株主のことです。例えば、経営方針の変更を求めたり、資産の売却を提案したり、企業が株主への配当を増やすように求めることがあります。アクティビスト株主は、企業の経営を改善したり、企業の価値を上げるために提案を行います。たとえば、もっと利益を出すためのアイデアを企業に提案することがあります。そのため、アクティビストは「物言う株主」とも呼ばれています。

最近の日本企業に影響を与えた有名なアクティビスト
  • エリオット・マネジメント:
    ソニーに対して事業の再編を求め、企業の成長戦略に大きな影響を与えました。
  • シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ:
    東芝に対して経営改善を求め、経営陣の変更に大きな影響を与えました。
  • ファンド・インベストメント:
    オリンパスに対して経営の改革を求め、企業の透明性や効率を高める活動をしました。
  • バリューアクト・キャピタル:
    三菱自動車に対してガバナンス(企業の運営の仕組み)を改善する提案を行い、影響を与えました。
  • オアシス・マネジメント:
    香港に拠点を置くアクティビストで、日本の企業にも積極的に提案をしています。たとえば、フジテックに対して取締役の変更を求め、実際に2023年にはその取締役が選ばれました。
  • 旧村上ファンド(村上世彰氏):
    2000年代初めに日本で活動し、企業の価値を上げるために積極的な提案をしました。ニッポン放送の株を買ったことで企業に大きな影響を与え、日本におけるアクティビスト投資の先駆けとなりました。
株主の種類
  • デイトレーダーなど、短期間で売買をする株主:
    デイトレーダーは、株を短い間だけ持って売買し、その変動で利益を得ようとする人たちです。企業の経営にはあまり関心がなく、短期的な利益を重視します。
  • 個人株主:
    一般の人が企業の株を持っている株主です。長く株を持ち続けたいと考える人も多いですが、必ずしも企業の経営に深く関与しているわけではありません。
  • 機関投資家:
    銀行や保険会社、投資ファンドなど、大きな金額を投資する法人の株主です。企業の経営に積極的に関与することが多いです。
  • アクティビスト:
    企業の価値を上げるために意見を述べたり、行動する株主です。
  • 安定株主:
    企業と強い関係を持ち、長期間株を持ち続ける株主です。企業の経営方針を応援することが多いです。
株主提案とは?

株主提案とは、株主が企業の経営や活動について意見を出し、改善を求めるために行う提案のことです。株主総会で話し合われ、みんなで賛成か反対かを決めます。この提案は、企業の経営を良くしたり、株主への利益を増やしたりすることを目的にしています。特にアクティビスト株主が積極的に提案を行います。

株主提案に「なんとなく」賛成する個人株主たち

株主総会での重要な提案に対し、多くの個人株主が「特に理由はない」として賛成していることがわかりました。

リンクコーポレイトコミュニケーションズの調査(2023年、対象者数2169人)によると、アクティビスト株主の提案に賛成した個人株主の約4割が「特に理由はない」と回答しました。これは、企業の提案を深く考えず、SNSやニュースに影響されている可能性があります。

個人株主は「安定株主」なのか?

企業は個人株主を「長期的に株を持つ安定株主」や「企業のファン」と見なすことが多いです。しかし、個人株主が必ずしも企業の利益を最優先に考えているわけではありません。これは、個人株主が資産の安全や短期的な利益を重視し、経営情報を深く理解せずに判断することが多いためです。

調査によれば、約6割の個人株主が10年以上の投資経験を持つにもかかわらず、多くが提案に深く考えず賛成しています。これは、企業にとって個人株主が必ずしも安定した支持基盤ではないことを示しています。

まとめ
  • 個人株主の多くが、株主提案に対して深く考えずに賛成している
  • 企業は個人株主を「安定株主」と見ていますが、実際にはそうではないこともある
  • 個人株主との対話を強化し、十分な情報を提供することが大切

もしも自分が企業の株主だったら、どのように企業の提案に対して意見を持ちますか?普段から企業のニュースを見たり、自分の考えを持つことはとても大切です。家族で好きな企業について話し合い、その企業の未来についてどう思うか意見を交換してみましょう。
例えば、「その企業の商品やサービスはこれからどう変わると思う?」や「もっと良くするためにはどんなことが必要かな?」といった質問をしてみると、話し合いがもっと面白くなります。こうした話し合いを通して、企業の経営や社会の動きについてもっと深く理解するきっかけになるはずです。

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