2027年開始が検討される「こどもNISA」:教育資金にも使いやすい新制度に!
「こどもNISA」2027年スタート 子育て世帯の資産形成後押し―税制改正:時事ドットコム
少額投資非課税制度(NISA)の「つみたて投資枠」が2027年、18歳未満に解禁される。「こどもNISA」の名称で年間60万円、累計で600万円まで投資信託を購入でき、その売却益や分配金には所得税と住民税がかからない。実際に資金を出すのは親か祖父母だと想定し、子どもの進学や新生活に必要な資金を準備できるようにする。
物価が上がり、将来の教育費や老後資金への不安が高まるなか、日本の「NISA(少額投資非課税制度)」が再び注目されています。
2027年から、投資信託をコツコツ積み立てる「つみたて投資枠」を18歳未満にも広げた「こどもNISA」が始まる方向で、政府・与党が調整しています。年間60万円、合計600万円までの投資で得た利益に税金がかからない点が特徴です。
過去にあったジュニアNISAは引き出し制限が厳しく利用が伸びませんでしたが、新制度では12歳以降の引き出しを認めるなど、使いやすさが改善されています。0歳から投資ができる制度は、家計や社会の仕組みにどんな意味を持つのでしょうか。
まずはクイズで考えてみよう(正解は問題をクリック)
Q. 新しく検討されている「こどもNISA」は、どの点を特に改善した制度として位置づけられているでしょうか?
A. 投資できる商品を増やし、短期売買をしやすくした点
B. 引き出しの制限をゆるめ、教育費にも使いやすくした点
C. 大人向けNISAと同じ上限額まで投資できるようにした点
→ 正解は「B. 引き出しの制限をゆるめ、教育費にも使いやすくした点」です。
なぜこの点が重視されたのかは、後ほどジュニアNISAとの違いや制度のねらいを整理する中で説明します。
こどもNISAとは何か──ジュニアNISAとの違い
こどもNISAは、新NISAの「つみたて投資枠」を0〜17歳にも広げる制度として検討されています。過去にあったジュニアNISAは、制度としては似ていても、実際の使い勝手は大きく異なっていました。
違いが一目で分かるように、主なポイントを表で整理します。
| 比較ポイント | ジュニアNISA | こどもNISA(検討案) |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 0〜19歳 | 0〜17歳(18歳未満) |
| 年間の投資上限 | 年80万円 | 年60万円 |
| 非課税で保有できる上限 | 最大400万円(最長5年) | 合計600万円(つみたて投資枠のみ) |
| 対象商品 | 株式・投資信託など幅広い | 金融庁が認めた長期・分散投資向きの投資信託に限定 |
| 引き出し | 原則18歳まで不可/途中出金でさかのぼって課税 | 12歳以上で本人同意があれば引き出し可能にする方向(報道) |
ジュニアNISAは、引き出し制限が厳しく「教育費に柔軟に使いづらい」という声が多かったとされます。その結果、利用が伸びないまま2023年末で新規投資の受付が終了しました。こどもNISAは、教育費や進学資金としても使いやすいようにルールを見直した、実質的な後継制度と言えます。
制度のねらい──なぜ「0歳から投資」なのか
政府や金融庁がこどもNISAを導入する目的は、単なる資産運用の拡大ではありません。公式資料や提言では、次の3つのねらいが示されています。
- 若年層の資産形成支援
- 子どもの時期から長期・安定的な資産形成を始められるようにし、将来の経済的な基盤を作ることが目的です。
- 子育て世帯の負担軽減
- 教育費や独立資金を、非課税で効率よく準備できるようにすることで、子育て世帯の将来不安を和らげる狙いがあります。
- 金融教育と世代間の資産移転
- 親子で投資に触れることで金融リテラシーを高めます。
- 高齢世代に偏りがちな金融資産を、祖父母から子や孫へ移していくことも想定されています。
なぜ、投資上限が600万円でも教育費づくりに向いているとされるのでしょうか。結論から言うと、「非課税で長期間運用できる仕組み」と「12歳以降は柔軟に引き出せる設計」の組み合わせが、進学資金の準備と相性が良いからです。
同じテーマでは、高齢者向けのプラチナNISAと並び、全世代型NISAを整える構想も示されており、こどもNISAは資産運用立国をめざす流れの中に位置づけられています。

Q. 毎月5,000円を10年間積み立て、合計60万円を投資したとき、 元本よりお金が増える可能性があるのは、主にどの理由によるものでしょうか。
A. 毎月お金を足しているから、自然に増えるため
B. 投資したお金が、時間とともに運用され続けるため
C. 国があとからお金を上乗せしてくれるため
→ 正解は「B. 投資したお金が、時間とともに運用され続けるため」です。
理由は、「積み立てたお金が運用され、その運用益も次の運用に回る仕組みがあるため」です。これを、下のシミュレーションで具体的に確認します。
中高生でも投資はできる? シミュレーションで見る効果
こどもNISAは「0歳から」対象ですが、実際に中学生や高校生でも利用できるのでしょうか。
制度上、口座の名義は子ども本人になりますが、未成年の取引は原則として親権者が管理・同意する必要があります。 したがって、中高生が「自分のお金で自由に売買する」ことは難しいですが、親と一緒に商品を選んだり、値動きを確認したりして「共同運用」することは可能です。
では、例えば15歳から10年間、毎月5,000円を積み立てた場合、どうなるのでしょうか。長期積立のイメージをつかむため、一般的なNISA向けシミュレーションで用いられる年3〜7%程度の想定を参考にして計算してみましょう。
- 条件:毎月5,000円 × 10年間(元本合計60万円)
- 結果イメージ(手数料等は考慮せず):
- 年率3%の場合:約70万円(+約10万円)
- 年率5%の場合:約78万円(+約18万円)
- 年率7%の場合:約87万円(+約27万円)
この表は、手数料や相場の変動などを細かく反映した確定結果ではありません。ただし、積み立てたお金が運用され、その運用益も次の運用に回ることで増え方が変わるという点は読み取れます。時間をかけてコツコツ投資することで、元本以上にお金が増える可能性がありますが、逆に市場が悪ければ減るリスクもあります。この「リスクとリターン」を体験できることこそが、最大の教材といえるかもしれません。
まとめ
- こどもNISAは2027年開始に向けて検討が進む制度
- 年間60万円合計600万円までの利益や分配金が非課税になる方向
- ジュニアNISAで壁になった引き出し制限を見直し12歳以降の引き出しを認める案がある
- 目的は若年層の資産形成支援と子育て世帯の負担軽減と金融教育の推進
ニュースに出てくる「非課税」「投資信託」「分散」といった言葉は、制度だけ覚えても実感が湧きにくいものです。口座を作るかどうかとは別に、実際の商品説明や手数料を一度見てみるだけでも、経済の見え方が変わっていきます。

