ホテル15社に警告!値上げの裏にカルテル疑惑?
ホテル15社に警告へ 客室単価など情報共有―カルテルの恐れ・公取委:時事ドットコム
帝国ホテルなど東京都内の高級ホテルを運営する15社が、価格カルテルにつながる恐れがある客室単価などの情報を共有していたとして、公正取引委員会が独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで警告を出す方針を固めたことが17日、関係者への取材で分かった。
東京都内の有名ホテル15社が、毎月の宿泊料金や客室の稼働率などの情報を共有していたことが明らかになりました。この行動が「カルテル」とみなされる可能性があるとして、公正取引委員会が警告を出す方針を発表しています。
そもそもカルテルとはどんな仕組みなのでしょうか?ホテル同士の情報交換がなぜ問題になるのか、そしてその影響がどのように私たちに及ぶのかを考えてみましょう。
カルテルとは何か? ~価格が自由に決められなくなる仕組み~
カルテルの仕組み
カルテルとは、同じ業界の会社が集まって、商品やサービスの価格や販売方法を話し合い、共通の取り決めをしてしまう行為です。
たとえば、複数のホテルが「このくらいの料金で宿泊させよう」と決めると、価格競争がなくなります。その結果、料金が下がりにくくなり、利用者は不利益を受けます。日本ではこのような行為は「独占禁止法」で禁止されています。
ホテル業界でのカルテル疑い ~情報共有の実態と背景~
有名ホテルが集まる「FR会」
帝国ホテルやホテルニューオータニなど、東京都内の有名ホテル15社は「FR会」と呼ばれる会合を開き、宿泊料金や稼働率、今後の価格設定などの内部情報を毎月共有していました。これらの会合は数十年続いていたとされ、競争の公正さに疑問が生じています。
公正取引委員会の動き
新型コロナが落ち着き、外国人観光客が増えたことで、ホテルの宿泊料金が大きく上がりました。2020年には約7,200円だった平均料金が、2024年には約14,000円にまで倍増しています。このような急激な値上がりを受けて、公正取引委員会は「価格が不自然に高止まりしている」と判断し、調査を開始しました。
消費者への影響 ~見えないコストと選択肢の減少~
一斉値上げはなかったが…
調査の結果、15社が同時に値上げを行ったという明確な証拠はありませんでした。しかし、他のホテルの情報をもとに料金を設定する動きがあり、価格を下げる競争が弱まっていたと見られます。そのため、結果的に宿泊料金が高く維持されることになった可能性があります。
宿泊者にとっての不利益
「以前は1万円以下だったのに、今は1万5,000円以上するホテルもある」という声もあり、安い宿を探すのが難しくなってきています。料金が上がると旅行の回数を減らす人も出てくるかもしれません。
消費者が本来得られる「選べる自由」や「お得さ」が失われるのは大きな問題です。

公正取引委員会の対応と広がる問題
今後の動き
公正取引委員会は、情報共有が将来的に価格カルテルへとつながるおそれがあるとし、15社に対して警告を出す準備を進めています。現在、会合は中止され、情報交換も止まっているとされています。
他業界にも波及
同様の問題は他の業界でも見られます。最近では、トラックの改造を行う企業間での情報共有が調査対象となりました。物価の上昇や需要の増加にともなって、公正な競争が損なわれる事例が広がっているのです。
まとめ
- カルテルは企業同士が協力して価格などを決め、競争を避ける行為
- 東京の有名ホテル15社が毎月情報を共有していたことが明らかになった
- 明確な値上げの証拠はなかったものの、価格競争が弱まり料金が高止まりした可能性
- 消費者にとっては、宿泊費の上昇や選択肢の減少といった影響が生じている
- 公正取引委員会は今後の再発を防ぐため、早めの対応を進めている
ニュースや社会のしくみを知ることは、自分の生活を守る力になります。
急に料金が上がったとき、「なぜそうなったのか?」と考えて調べてみることが大切です。「カルテル」や「独占禁止法」は一見むずかしそうですが、実は身近な問題です。今後は、自分の興味のある業界についても、公正な競争が行われているかをチェックしてみませんか?

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