日銀レポート:マイナス金利政策
出典:「マイナス金利政策の金利形成や貸出への影響」日本銀行ワーキングペーパー No.24-J-25(2024年12月)
※ちょっと難しい話です。
マイナス金利政策とは?
銀行にお金を預けると、通常は利息がつきます。でも「マイナス金利政策」という仕組みでは、銀行が日本銀行にお金を預けると逆に手数料のようにお金が減ります。この政策は、2016年に日本銀行が景気をよくするために始めたものです。
この記事では、日本銀行の「マイナス金利政策の金利形成や貸出への影響」に関するレポート(2024年)をもとに、この政策がどのようにお金の流れを変えたのかを振り返ってみましょう。
マイナス金利政策の仕組み
マイナス金利政策は、銀行が日本銀行にお金を預けるときに、普通なら利息がつくところが、逆に「利息を取られる」という仕組みです。これはとても特別な措置で、銀行に「お金をただ預けるのではなく、もっと貸し出したり投資したりして経済を活発にしてください」というメッセージを送るために行われます。
- 短期金利の低下:銀行同士で取引する短期金利が下がります。
- 長期金利の低下:住宅ローンや企業の借入金利が下がります。
- 貸出の促進:銀行がより積極的に貸出を行うようになります。
時系列で見るマイナス金利政策の影響
2016年:政策導入
- 日本銀行はマイナス金利政策を導入しました。当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用し、余剰資金を経済に流すことを目指しました。
2016年〜2018年:金利低下の恩恵
- 住宅ローン金利が史上最低水準となり、多くの家庭が家を購入しやすくなりました。
- 短期金利と長期金利の両方が低下し、企業の資金調達が容易になりました。
2019年:銀行収益への圧迫
- マイナス金利政策の長期化により、銀行の収益が圧迫される課題が出てきました。ただし、日本銀行は「リバーサル・レート」(銀行がマイナス金利による負担で貸し出しを減らし、経済が逆に悪化し始めるポイント)を下回らないよう工夫を施し、銀行経営を支えました。
2020年〜2022年:コロナ禍での再評価
- コロナ禍で経済が停滞し、低金利政策が企業支援や雇用維持に重要な役割を果たしました。
2024年:金利引き上げの兆し
- 経済回復に伴い、金利引き上げが議論されています。預金の利息が増える一方、借入金利の上昇も予想されています。
マイナス金利政策の効果
1. 金利形成への影響
短期金利と長期金利が低下し、住宅ローンや企業向け融資の金利が大幅に下がりました。これにより、資金調達のハードルが下がり、経済活動が活発化しました。
2. 貸出促進の効果
銀行は余剰資金を日本銀行に預けるよりも、企業や個人に貸し出す方が有利となり、貸出が増加しました。結果として、住宅購入や新規事業の立ち上げが促進されました。
3. 銀行収益への影響
マイナス金利政策は銀行の収益に圧迫をもたらしましたが、日本銀行はリバーサル・レートを考慮し、金融機関の経営が大きく損なわれないよう配慮しました。
私たちの生活への影響
1. お金を借りやすくする
住宅ローンの金利が下がり、家を建てる負担が軽減されます。
2. 消費と物価への影響
お金を使う人が増えることで、商品やサービスの値段が上がる可能性があります。
3. 預金利息の減少
銀行に預けたお金の利息が減り、預金以外の資産運用を考える人が増えています。
海外の事例
デンマークやスイス、ヨーロッパ各国でもマイナス金利政策が導入されました。これらの国々では、それぞれの経済状況に応じて政策の効果が異なりますが、いずれも景気刺激を目的としています。
まとめ
- マイナス金利政策は、銀行がお金を貸しやすくするための仕組み
- 住宅ローン金利の低下や企業活動の活発化など、経済全体に好影響を与えることが目的
- 預金の利息が減る一方、経済を元気にする効果があるとされている
「マイナス金利政策」は少し難しいテーマかもしれませんが、家族で「お金を使うこと」と「貯めること」について話し合うきっかけにしてみませんか?例えば、ローンの仕組みや投資について考えることで、将来の計画が立てやすくなります。
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