ボーイングの経営難とストライキの影響

労組が賃上げ拒否、スト継続 7~9月期は赤字9400億円―米ボーイング:時事ドットコム

【ニューヨーク時事】米航空機大手ボーイングの労働組合は23日、経営側が提案した4年間で35%の賃上げを柱とした労働協約を否決した。投票した組合員の6割が反対した。1カ月に及ぶストライキが継続し、経営に一層打撃を与えそうだ。

アメリカの大きな飛行機メーカー、ボーイングが今、とても大変な状況にあります。第3四半期の決算では60億ドル以上の赤字を出し、さらに働く人たちが抗議活動(ストライキ)を続けています。このせいで、飛行機の製造が遅れたり、部品を作っている日本の会社にも悪い影響が出ています。
ボーイングが直面している問題やストライキがどのように影響しているのかについて考えてみましょう。

ボーイングの会社の困難

ボーイングは長い間、飛行機を作るトップの会社として知られてきました。しかし、最近はいくつかの大きな問題に直面しています。
特に、737 MAXや777という飛行機の製造が止まったことや、防衛や宇宙事業がうまくいっていないことが大きな問題です。2024年の第3四半期には60億ドル以上の赤字を出し、ボーイングの株価も2%下がりました。これは会社の経営がうまくいっていないことを示しています。

ストライキが経営に与える影響

ボーイングの会社の困難をさらに深刻にしているのが、働く人たちとの賃上げ交渉がうまくいかずに起こっているストライキです。働く人たちは、4年間で35%の給料アップを求めましたが、会社はこれを拒否し、抗議活動(ストライキ)を続けています。このストライキのせいで、主力製品の777型機などの飛行機の製造が遅れ、ボーイングは製造の遅れや収益の減少に直面しています。ストライキが長引くと、製造がますます遅れ、会社の収益が減ってしまいます。

さらに、ボーイングのような大きな会社では、ストライキが部品の供給ネットワーク全体に悪影響を与えることがあります。ボーイングは多くの部品を外部から調達しており、特に日本の会社もその一部を担っています。例えば、三菱重工業は航空機部品を作っており、ボーイングでの製造遅れが続くと、こうした日本の会社も損失を被る可能性があります。つまり、ストライキはボーイングだけでなく、世界中のパートナー企業にも大きな影響を与えるのです。

ボーイングのストライキについては9月に紹介していますので、こちらも読んでみてください。

ボーイングのストライキ:長期化で日本企業も影響?

みなさんは飛行機に乗ったことがありますか?その飛行機を作る会社の一つが、アメリカの大きな飛行機メーカーです。そのボーイングの会社で働く人たちが16年ぶりにストライキを始めました。このまま続くと、アメリカだけでなく日本の企 […]

CEO「企業文化の変革が必要」

ボーイングのCEO(社長のような立場)であるケリー・オルトバーグさんは、こうした会社の困難を乗り越えるためには「企業文化の根本的な変革」が必要だと話しています。彼は、経営陣と働く人たちが協力して問題の原因を見つけ、解決に向けて動くことが大切だと強調しています。ボーイングは大きな会社であり、変革には時間がかかりますが、再び飛行機業界のトップに戻る力があると考えています。

日本企業への影響

ボーイングの会社の困難は、アメリカだけの問題ではありません。ボーイングの飛行機の製造には、多くの日本の会社が部品を供給しています。そのため、ボーイングの製造遅れやストライキの影響が広がると、日本の会社にも悪い影響が出ます。特に、航空機部品を供給している三菱重工業や他のサプライヤー企業は、ボーイングの状況次第で売上や生産に影響を受ける可能性があります。このように、グローバルな部品供給ネットワークが絡むことで、ボーイングの会社の問題は日本を含む世界中に広がるのです。

ボーイングの未来

ボーイングは現在、たくさんの課題に直面していますが、長い歴史と高い技術力を持つ会社です。CEOが掲げる企業文化の変革が成功すれば、再び成長軌道に乗る可能性があります。特に、環境に優しい航空機技術や新しいビジネスモデルに注力することで、飛行機業界の未来に貢献することが期待されています。

まとめ

ボーイングのCEOは企業文化の変革を目指し、会社の再建を進めている。

ボーイングは第3四半期に60億ドル以上の赤字を発表し、経営がうまくいっていない。

働く人たちとの賃上げ交渉が難航し、ストライキが続いている。

ストライキはボーイングだけでなく、日本の会社も含めた部品供給ネットワーク全体に悪影響を与えている。

航空業界は現在、環境に優しい技術への注目が高まっています。例えば、電動航空機や持続可能な燃料の開発などが注目されており、ボーイングもこれらの技術を取り入れることで新たな成長を目指しています。こうした技術革新が進めば、航空業界全体の未来が大きく変わる可能性があります。

大きな企業でも、働く人たちとの関係がうまくいかないと、経営に大きな影響を与えることがあります。ストライキや賃上げ交渉が長引くことで、製品の生産が遅れ、会社全体が困難な状況に陥ることもあるのです。こうした問題は、ボーイングのような大企業だけでなく、他の業界でも起こりうるものです。
みなさんは、どうすれば企業と働く人たちがうまく協力して仕事を進められると思いますか?

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記事作成者

清水 裕矢 | Shimizu Yuya
清水 裕矢 | Shimizu YuyaProgress CFO / こども未来投資プロジェクト 代表理事
山口県防府市出身。大学卒業後に学習塾講師、パソコンインストラクター/営業を経て、外資系産業ガス企業に入社。以降、複数企業・複数業種の財務経理責任者・CFO歴任。こどもの金融リテラシー講座 CA$H! 講師/カリキュラム・テキスト作成。
「会計・IT・英語があればなんとかなる」がポリシー。nine inch nailsやMetal Coreを愛聴。