日本は黒字でも「デジタル赤字」が増えている

7月の経常収支が発表され、日本は3兆円以上の黒字になりました。つまり、日本は海外と商売をしてもうかっているということです。
でも、その中で「デジタル赤字」と呼ばれる問題が大きくなっています。みなさんもネット広告やクラウドサービスを使ったことがあるかもしれませんが、実はそれが日本から海外へお金を流しているのです。どうしてこうしたことが起きるのか、デジタル赤字について一緒に考えてみましょう。

経常収支って何？

経常収支は、海外との取引で日本がどれくらいお金を稼いだか、または使ったかを示す数字です。今年の7月は、3兆1930億円の黒字で、去年の7月より4180億円も増えました。これは7月としては過去最大の黒字です。

なぜ黒字なの？

この黒字の大きな理由は、日本が海外で持っている資産から得られる利子や配当金です。円安（円の価値が下がること）の影響で、これらの収入が増えて、過去最大の4兆4410億円となりました。
海外の株式などに投資して、それが円安で価値が上がっているのです。これは円安の良い点ですね。

デジタル赤字の拡大

でも、全部が黒字ではありません。「デジタル赤字」という、インターネットを通じたサービスの利用で日本のお金が海外に流れる問題があります。

デジタル赤字ってなに？

デジタル赤字とは、インターネットで使うサービス、たとえばクラウドサービスやネット広告に日本が支払うお金のことです。
みなさんもYouTubeで動画を見たり、学校でクラウドを使ったりすることがありますよね？それらのサービスが海外の会社によって提供されていることが多く、そのため日本のお金が海外に流れてしまっているのです。

デジタル赤字の具体例

ここでは、デジタル赤字に関係する具体的なサービスや会社を紹介します。

• Amazon Web Services (AWS): 企業や学校がデータを保存するためのクラウドサービスですが、その利用料はAmazon（アメリカ）へ支払われます。
• Google Ads: ネット広告を出すために多くの企業が使っていますが、広告費はGoogle（アメリカ）へ支払われます。
• Netflix: 映画やドラマを見るためのサービスで、毎月の利用料がNetflix（アメリカ）へ支払われます。
• Spotify: 音楽を聴くためのサービスで、こちらも利用料がSpotify（スウェーデン）へ支払われます。
• Zoom: オンライン授業や会議で使われることが多いですが、その利用料金がZoom（アメリカ）へ支払われます。
• Microsoft Azure: 企業が利用するクラウドサービスで、支払いがMicrosoft（アメリカ）へ支払われます。。

旅行収支の黒字

一方で、海外から日本を訪れる観光客が増えたことで、「旅行収支」は過去最大の黒字です。外国からの旅行者が日本でお金を使ってくれるため、日本の経済にプラスとなっています。

まとめ

• 旅行収支は外国人観光客の増加で黒字
• 7月の経常収支は3兆1930億円の黒字
• 円安で日本の海外資産からの収入が増えた
• デジタル赤字は、クラウドサービスやネット広告などの利用で増加している

最近、日本政府もデジタル赤字を減らすために国内企業のIT技術を強化する取り組みを進めています。たとえば、「Society 5.0」というプロジェクトがあり、デジタル技術を使ってより便利でスマートな社会を目指しています。
みなさんも、インターネットで動画を見たり、音楽を聴いたりすることがあるかもしれませんね。そのサービスの多くは海外の会社が提供していますが、それによって日本からお金が海外に流れているのです。
もし日本に自分たちの強いデジタルサービスがあれば、もっとお金が国内に残るかもしれません。日本がどんなデジタルサービスを作ると世界の企業と戦えるのでしょうか。

記事作成者

清水 裕矢 ｜ Shimizu YuyaProgress CFO / こども未来投資プロジェクト 代表理事

山口県防府市出身。大学卒業後に学習塾講師、パソコンインストラクター/営業を経て、外資系産業ガス企業に入社。以降、複数企業・複数業種の財務経理責任者・CFO歴任。こどもの金融リテラシー講座 CA$H! 講師/カリキュラム・テキスト作成。
「会計・IT・英語があれば、仕事に困らない」がポリシー。nine inch nailsやMetal Coreを愛聴。

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