スターバックスに74億円の賠償命令!企業の製品責任とは?

提供したホットコーヒーで客が火傷、スタバに74億円支払い命令 米加州 - CNN.co.jp

米カリフォルニア州の陪審は14日、コーヒーチェーン大手スターバックスに対し、配達運転手の男性1人への損害賠償金として5000万ドル(約74億円)を支払うよう命じた。男性はふたが確実にはまっていない高温の飲料で重い火傷(やけど)を負っていた。

私たちは日々、さまざまな製品やサービスを利用しています。しかし、これらが原因で事故が起きた場合、企業はどのような責任を負うのでしょうか?

近年、高額な賠償が命じられる事例が増えており、企業の製品責任が改めて問われています。実際の訴訟事例を通じて、企業の責任と消費者の安全について考えていきます。

スターバックスの74億円賠償事件

2020年、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスのスターバックスのドライブスルーで、配達運転手の男性が熱い飲み物を受け取った際、ふたがしっかり閉まっておらず、膝にこぼれる事故が発生しました。

この事故で男性は重度のやけどを負い、長期間の治療が必要になりました。2025年3月、カリフォルニア州の陪審は、スターバックスに対し約74億円の賠償金支払いを命じました。企業には製品の安全性を確保する責任があると判断されたのです。

マクドナルドの「ホットコーヒー訴訟」

このような訴訟は以前にも発生しています。1992年、79歳のステラ・リーベックさんがマクドナルドのホットコーヒーを膝にこぼし、重度のやけどを負いました。

裁判では、マクドナルドのコーヒーが他社よりも30〜40度高温で提供されていたこと、過去に700件以上の類似事故が報告されていたにもかかわらず対策が取られていなかったことが問題視されました。結果として、約4億円の賠償金支払いが命じられました。

他の飲食業界での類似事例

熱い飲み物による訴訟はほかにも多く発生しています。

  • 2018年:22歳の男性がスターバックスのお茶でやけどを負い、11日間入院。
  • 2015年:コロラド州の女性がスターバックスのお茶でやけどを負い、同乗していた犬が死亡。
  • 2023年:マクドナルドのハッピーミールの熱いチキンナゲットが4歳の女の子の足に落ち、2度のやけどを負い、約1億2000万円の賠償金が認められる。
自動車業界の製品責任訴訟

製品責任訴訟は飲食業界だけでなく、自動車業界でも多発しています。

  • 1978年 フォード・ピント事件:欠陥燃料タンクにより、追突事故時に車両が爆発しやすい問題が発覚。
  • 2014年 ゼネラルモーターズ:欠陥イグニッションスイッチによる死亡事故を受け、大規模リコールと罰金が科される。
  • 2009~2014年 トヨタ:一部車両で意図しない急加速が報告され、大規模な製品責任訴訟に直面。
医薬品・化学製品業界の訴訟
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン:タルクパウダー製品に含まれるアスベストが卵巣がんを引き起こしたとして、多くの訴訟が提起。
  • バイエル社:ラウンドアップ除草剤のがんリスクを巡り、多数の訴訟が発生。
  • タバコ業界:2002年、フィリップモリスが肺がん患者に対し約42億円の賠償金支払いを命じられる。
まとめ
  • 企業には製品の安全性を確保する重大な責任
  • 事故が起きた場合、被害の程度によって高額な賠償金が発生することがある
  • 消費者の安全よりも利益を優先すると、長期的には大きな損失につながる可能性
  • 企業は事故を未然に防ぐための安全対策を強化する必要
私たちの生活と企業責任について考えよう

私たちは日々、多くの製品やサービスを利用しています。これらの訴訟事例は、企業の責任と製品の安全性について考えるきっかけを与えてくれます。

企業の社会的責任(CSR)という考え方があり、これは利益を追求するだけでなく、社会に対して責任ある行動をとるべきだというものです。高額賠償訴訟は、企業に対し安全対策の重要性を改めて認識させる役割も果たしています。

消費者として、安全な商品を選ぶ意識を持つことが重要です。また、将来ビジネスに関わる際には、短期的な利益よりも消費者の安全を優先する企業文化の大切さを考えてみましょう。

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