未来のエネルギー革命!人工水晶が太陽熱を最大限活用
もう化石燃料に頼らなくてすむかも。画期的な技術が開発中 | ギズモード・ジャパン
スイスのチューリッヒ工科大学で画期的な技術が開発されつつあります。科学誌『Device』に掲載された論文によれば、地球に降り注ぐ太陽エネルギー135個分(*)を人工水晶に注ぎこんで、1000℃以上まで熱することに成功したそう。なぜ画期的って…
地球温暖化が深刻化する中、再生可能エネルギーへの注目が高まっています。
中でも太陽エネルギーは、無限に利用できるクリーンなエネルギーとして、持続可能な社会を支える鍵とされています。スイスのチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)では、人工水晶を使って太陽の熱を効率よく活用し、1000℃以上の高温を生み出す革新的な技術が開発されました。
その仕組みと産業・経済への影響について考えてみましょう。
人工水晶の力と「サーマルトラップ効果」
この新技術の中心となるのは「サーマルトラップ効果」です。人工水晶には、目に見える光(可視光)を通しやすく、赤外線を吸収しやすい性質があります。
研究チームは直径7.5センチ、長さ30センチの人工水晶の棒を使い、一端に太陽光を当て、もう一端にシリコンカーバイド製のディスクを設置しました。
その結果、ディスクは1050℃に達し、前面の温度は450℃にとどまりました。

https://www.cell.com/device/fulltext/S2666-9986(24)00235-7
従来技術との大きな違い
これまでの太陽熱利用では、反射鏡を使って光を集めていましたが、1000℃を超える温度の達成は困難でした。
しかし、今回の技術は人工水晶を使うことで、その壁を越えることに成功しました。これにより、従来では難しかった高温での製造プロセスが、再生可能エネルギーで可能になります。
高温産業への応用が期待される分野
鉄鋼業
鉄鉱石を溶かすためには非常に高温が必要です。これまでは化石燃料を燃やしていましたが、太陽エネルギーの活用により、環境に配慮した鉄の製造が可能になります。米国のEVRAZ社では、すでに太陽エネルギーを活用した工場の建設が進んでいます。
セメント業
セメントの製造には1500℃近い高温が必要です。スイスのSynhelion社とCEMEX社は、太陽熱だけでセメントを作る技術の開発を進めています。
ガラス製造業
ガラスを溶かして形を整える工程でも高温が必要です。太陽熱を使えば、製造過程でのCO2排出を減らすことができます。
化学工業
多くの化学反応では熱が欠かせません。太陽熱による加熱は、エネルギー効率が高く、持続可能な方法として注目されています。

経済や社会への影響は?
この技術が広まれば、次のような効果が期待されます。
- エネルギーコストの削減:化石燃料の使用を減らし、企業のコストを抑えられます。
- 新しいビジネスモデルの誕生:環境にやさしい製品やサービスが増え、新しい市場が広がります。
- 雇用や技術の進化:太陽エネルギー関連の研究・開発が進み、新たな雇用も生まれます。
- 環境負荷の軽減:CO2排出が減ることで、気候変動対策にも貢献します。
まとめ
- サーマルトラップ効果で太陽熱を1000℃以上に変換する技術が登場
- 鉄・セメント・ガラスなど、高温を必要とする製造業が大きく変わる可能性
- エネルギーコストや環境負荷の削減につながる
- 地球温暖化対策として、再生可能エネルギーの重要性がさらに高まっている
もしこの技術が世界中で使われるようになれば、環境にやさしい製品がもっと増えるかもしれません。そして、エネルギー費用が安くなることで、生活の負担も軽くなるでしょう。
太陽エネルギーを使った発電や暖房などを家庭でも少しずつ取り入れてみると、自分たちの暮らしの中でも地球の未来を守る一歩になります。太陽の力で未来を変えるこの新技術に、あなたも関心を持ってみませんか?

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