その判断、本当に正しい? 「ギャンブラーの誤謬」と「ホットハンド現象」に学ぼう

The ‘hot hand’ and the gambler’s fallacy: why our brains struggle to believe in randomness

We always want to find patterns in sequences of events – but often they aren’t really there.

テストで「3連続Aだから次はAのはずはない!」やサッカーの試合を観ていて「今日のこの選手は2点入れているから次も決めるはず」と考えたことがありませんか?

これらは、人間の思考の中でよく起こる「ギャンブラーの誤謬 ごびゅう(誤解)」と「ホットハンド現象」に関係しています。このことを理解すると、日常の決定でもより賢明な判断ができるようになります。また、これらの現象は行動経済学が研究する「認知バイアス」と密接に関連しており、私たちの選択や行動にどのような影響を与えるのか、にも関係します。

ギャンブラーの誤謬とは?

過去が未来を決める?
ギャンブラーの誤謬ごびゅうとは、過去の出来事が未来の結果に影響すると勘違いしてしまう心理のことです。例えば、コイン投げで連続して表が5回出た場合、「次は絶対裏だ!」と思うかもしれません。しかし、実際にはコインは過去を覚えていないため、次も表と裏の確率は50%ずつです。

日常の例
このような誤解は、日常生活にも見られます。

  • 「長年買っている宝くじ、次こそ当たるはず!」
  • 「マルが3回続いたから、次はバツに違いない!」

こうした思い込みに注意し、冷静に物事を考える習慣を身につけることが大切です。

ホットハンド現象とは?

成功は続く?
ホットハンド現象は、連続した成功がその後も続くと信じる心理を指します。例えば、バスケットボールで連続して3回シュートが決まった選手を見て、「次もきっと成功する!」と期待することです。

科学的な視点
しかし、研究ではこの現象の実在性は明確ではありません。選手のスキルや自信が一時的に影響する場合もありますが、多くのケースでは偶然の結果にすぎないとされています。

バイアスと意思決定

ギャンブラーの誤謬やホットハンド現象は、行動経済学で研究される「認知バイアス」の一種です。これらは、確率やリスクを直感的に誤解してしまうことで生じます。

例えば、宝くじの購入者の多くは「次は当たるかもしれない」と期待し続けますが、実際の当選確率は変わりません。また、NBA選手がホットハンド現象を信じることで、非効率なシュート選択をする場合もあります。

自分に都合の良い解釈
行動経済学では、人間は論理的なつもりでも、自分に都合よく解釈しがちだとされています。例えば、試験で連続して良い点を取った後、「次も簡単だ」と思い込むことや、セールで「お得」と感じて必要のないものを買うことが挙げられます。これらを防ぐには、データや確率を冷静に見直す習慣が必要です。

例:宝くじと投資
例えば、宝くじを何度も買い続ける人は「次こそ当たる」と信じることがありますが、これはギャンブラーの誤解によるものです。
また、株式投資でも、過去に連続して値上がりした株を「次も上がる」と過信する行動がホットハンド現象と関連します。これらのバイアスに気づくことで、より冷静な判断が可能になります。

人間の心理と誤解の理由

パターンを見つけたい脳
人間の脳はパターンを見つけることが得意です。しかし、その能力が裏目に出て、偶然の出来事にも規則性を見出してしまうことがあります。

少ない事例に基づく判断
限られた情報だけで結論を出そうとすると、誤解が生じやすくなります。このため、物事を長期的に捉える視点が重要です。

日常生活での活用法

冷静な判断をするための3つのコツ

  1. 確率を理解する
    一つ一つの出来事は独立しており、前回の結果が次回に影響しないことを覚えましょう。例えば、宝くじで外れたからといって次に当たる確率が上がるわけではありません。
  2. 長期的な視点を持つ
    短期的な結果に惑わされず、全体的な傾向を把握するよう心がけましょう。例えば、試験で良い点が続いた場合でも油断せず、日々の勉強を継続することが重要です。
  3. データに基づいて考える
    感情的にならず、客観的な情報やデータを参考に判断しましょう。セール品を購入する際も、「本当に必要か?」と冷静に考えることで無駄遣いを防げます。
まとめ
  • ギャンブラーの誤謬: 過去の結果が未来に影響しない
  • ホットハンド現象: 連続した成功が未来の成功を保証するわけではない
  • 行動経済学との関連: 認知バイアスが私たちの意思決定にどのように影響を与えるかを学ぶ
  • 自分に都合の良い解釈に注意: 論理的な判断だと思っても、実際にはバイアスがかかっていることを意識する
  • 冷静な視点の重要性: 偶然の出来事に惑わされず、データや確率に基づいて考えることが大切

スポーツ観戦やゲームをしているとき、テストを受けているとき、自分の思い込みが正しいかどうか立ち止まって考えてみましょう。
「これは本当にパターンなのか?」と自問することで、新しい発見があるかもしれません。また、行動経済学の本や資料を読むことで、日常の意思決定をより賢明なものにする方法を学べます。こうした知識を活用して、未来の選択肢を広げてみませんか?

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