不法移民に14万円?アメリカの「自発的退去支援」とは?
自発的退去に14万円支給 米、コスパ重視の不法移民対策:時事ドットコム
【ワシントン時事】米国土安全保障省は5日、自発的に国外退去する不法移民に対し、1000ドル(約14万円)を支給すると発表した。航空券の手配など旅行支援もする。トランプ政権が進める不法移民対策の一環で、強制送還よりも費用対効果に優れているという。
アメリカで新しい不法移民対策がスタートしました。不法に滞在している人が自分の意思で帰国する場合、約14万円と航空券が支給される制度です。
「なぜお金を渡すの?」「そんな制度が必要なの?」と思う人もいるかもしれません。この政策が生まれた理由や、世界のほかの国との違いについて、考えてみましょう。移民問題は、世界中が注目している社会テーマのひとつです。
アメリカにおける不法移民の現状
アメリカには、正式なビザや許可なしに滞在している「不法移民」が約1,000万人以上いるといわれています。不法移民は、低賃金労働などで経済を支える役割を果たしていますが、治安の問題や医療・教育など公共サービスの負担増という課題もあります。特にコロナ後の人手不足により、不法移民の流入はさらに加速しています。
「自発的退去支援」ってどんな制度?
2025年5月、アメリカ国土安全保障省は「自発的退去支援」という新たな制度を発表しました。これは、不法移民が自分の意思で帰国を選んだ場合、1,000ドル(約14万円)と航空券を支給するという仕組みです。申請は専用アプリを使って行い、帰国の証明が必要です。強制送還よりも安く、政府にとっても効率的な対応策とされています。
お金を渡す理由とは?
この制度が導入された最大の理由は「コスト削減」です。不法移民を強制的に送還するには、1人あたり約250万円かかるとされています。それに対して、自発的に帰国してもらえば14万円程度で済みます。また、自発的に帰国した人には将来の再入国のチャンスが残るため、人権面でも配慮された仕組みといえます。経済的な負担と人道的な対応のバランスをとる政策として注目されています。
世界の不法移民対策と比べてみよう
アメリカ以外の国でも、さまざまな不法移民対策が行われています。
- ヨーロッパ(EU):国境警備の強化や管理センターの設置を進め、早期に送還する体制を整えています。また、地中海沿岸諸国と連携して移民の流入を防ぐ取り組みもあります。
- オーストラリア:海からの不法入国者には永住権を与えず、「一時的保護ビザ」で対応。出身国と協定を結んで送還も行っています。
- アジア:韓国やマレーシアは、帰国する不法移民に対して罰則を軽くする「恩赦政策」を実施。タイでは、特定の不法移民を合法化する制度もあります。
- 日本:不法滞在者への摘発や送還を行っていますが、移民全体への対応は慎重な姿勢をとっています。

学校生活と照らし合わせて考えてみよう
たとえば、学校でルールを守らずに教室に入ったとします。先生から注意されるだけでなく、自分で反省し、ルールに従って教室に戻るよう求められることもあります。今回の移民対策も、自分からルールを守って帰国することを促す点で似ています。自発的な行動に価値を置いた仕組みといえます。
まとめ
- アメリカは、不法移民に対し「自発的退去支援」制度を導入しました。
- この制度では、帰国希望者に14万円と航空券を支給します。
- 強制送還よりも費用が安く、再入国の可能性が残る点も特徴です。
- 世界各国でも、それぞれの事情に応じた移民対策が行われています。
- 自分からルールに従う姿勢が、制度の考え方に通じています。
移民政策は、経済や人権、国の安全などさまざまなテーマが関わっています。どうして国によって対策が違うのか、どんな仕組みで移民を受け入れたり制限したりしているのか、ニュースや本を使って調べてみましょう。また、地域にいる外国人の人々がどんな生活をしているのかも気にかけてみてください。社会のしくみを知ることは、自分の未来の選択にもつながります。