オーストラリアが生きた羊の輸出を廃止!動物福祉の新しい時代へ
羊の洋上輸出、28年に廃止 動物福祉を重視、業態転換へ補助金―豪:時事ドットコム
【シドニー時事】オーストラリア上院は1日、生きた羊の洋上輸出を2028年5月までに段階的に廃止する法案を可決した。下院は通過済みで、所定の手続きを経て施行される。出荷の減少や輸送中の大量死事故を受け、…
オーストラリアやニュージランドといえば、何を連想しますか?羊(肉や羊毛を含む)の輸出がオーストラリアやニュージランドは有名です。
そのオーストラリアが2028年までに生きた羊の海上輸出をやめることにしました。なぜやめることになったのでしょう。
そして、牧場をしている人たちや羊を運ぶ仕事の人たちはどうなるのでしょうか?
羊の輸出はなぜやめるの?
輸送中の事故が多い
オーストラリアは長い間、生きた羊を中東や北アフリカに船で輸出していました。でも、輸送中にたくさんの羊が死んでしまう事故が多かったのです。
1996年には火事で7万頭の羊が死んでしまいました。2000年以降も輸送中に数千頭が死ぬ事故が続きました。このため、動物を守ろうという声が高まりました。
動物福祉のための決断
動物の福祉を大切にする声が強まり、オーストラリアの労働党は2022年の選挙で生きた羊の輸出をやめることを約束し、今回の決定に至りました。
動物福祉ってなに?
動物福祉の基本
動物福祉(アニマルウェルフェア)とは、動物が健康で快適に過ごせるようにする考え方です。動物福祉は動物が生まれてから死ぬまでの身体的・心的状態を指します。動物が痛みや苦しみを感じないようにし、自由に動ける環境を提供することが含まれます。
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/animal_welfare.html
最近、日本でもアニマルウェルフェアについての関心が高まっています。例えば、畜産業での動物福祉を重視する取り組みが進んでいます。
https://www.jaws.or.jp/welfare01/
アニマルウェルフェアの5つの自由
動物福祉の基本的な考え方には「5つの自由」があります:
- 飢えや渇きからの自由 - きれいな水と適切な食べ物があること
- 不快からの自由 - 快適な寝床と休む場所があること
- 痛み、ケガ、病気からの自由 - 怪我や病気を予防・治療できること
- 正常な行動をする自由 - 十分なスペースと、他の動物と接する機会があること
- 恐怖やストレスからの自由 - 精神的な苦痛がないこと
羊を輸出していた理由
オーストラリアは、豚肉を食べないイスラム教徒が多い中東や北アフリカに羊を輸出していました。これにより、年間で約7700万豪ドル(約83億円)の売り上げがありました。しかし、冷蔵技術の発達で、羊肉を冷凍して輸出することが増え、生きた羊の輸出は過去20年間で10分の1程度に減少しました。
業界の反発と政府の支援
牧羊農家や輸送業者は、収入源がなくなることを心配しています。これに対して、オーストラリア政府は総額1億700万豪ドル(約110億円)を投じて、羊肉の供給網強化や新しい雇用を創出し、業界の理解を得ようとしています。
まとめ
- オーストラリアは2028年までに生きた羊の海上輸出を廃止
- 輸送中の事故が多発し、動物福祉の観点から廃止を決定
- 動物福祉とは動物が健康で快適に過ごせるようにする考え方
- 動物福祉の基本には「5つの自由」がある
- 冷蔵技術の発達で生きた羊の輸出が減少
- 政府は業界の支援策として1億700万豪ドルを投じる
動物福祉について考えることは、私たちがどのように動物を扱うべきかを学ぶ良い機会です。生きた羊の輸出をやめることは、商売のこと「だけ」を考えるのではなく、人間と動物が「共存」することを考えさせるきっかけになると思いませんか。
おうちで「動物福祉って何?」や「他の動物にも同じような配慮が必要?」といった話をしてみてください。
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