株式売買シミュレーション 第1四半期振り返り(社会・経済探究講座CA$H! より)

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社会・経済探究講座CA$H!お金と社会のつながりを学ぼう文部科学省が定める学習指導要領が改定され、2022年4 月から高校で「資産形成・金融商品」等の授業が家庭科でスタート。小中学校でも、これまで以上に金融教…

当ウェブサイト事務局である株式会社Progressが運営する、社会経済探究講座CA$H!では、講師と受講生たちが仮想資金100万円を用いて、実際の株価データをもとに売買シミュレーションを授業内で行っています。
今回は、2025年4月から6月の資産状況を、選定銘柄の動きや、株価に影響を与えた出来事とともに振り返ります。

選定銘柄とポイント

講師が4月第1週にピックアップした8社は、多様な投資テーマを学ぶために選びました。

  • バリュー株:企業価値に比べて株価が割安と判断される株式
  • グロース株:今後の成長や業績拡大が期待される企業の株式
  • ディフェンシブ株:景気変動の影響を受けにくい安定した業種の株式
銘柄名(コード)主なポイント区分円高円安どっちが有利?
FOOD&LIFE COMPANIES
(スシロー)(3563)
海外展開・インバウンド需要ディフェンシブ株円安:海外売上増・訪日客増
円高:輸入食材コスト減
事業構造次第でどちらも有利
オリエンタルランド
(4661)
インバウンド回復・テーマパーク需要レジャー・エンタメ株円安:訪日外国人客増
円高:輸入コスト減(設備・グッズ等)
円安メリット大きいが、円高もコスト面で有利
トヨタ自動車
(7203)
世界展開・輸出比率高いバリュー株円安:輸出採算改善・海外利益増
円高:輸入部品コスト減
円安の方が全体的に有利
エニーカラー
(5032)
VTuber事業・ネット世代人気グロース株円安:海外配信収入増
円高:サーバー費用等のコスト減
収益構造次第で影響が分かれる
イオン
(8267)
国内流通・生活必需品ディフェンシブ株円安:海外店舗利益増(限定的)
円高:輸入商品コスト減
円高の方が基本的に有利
サイバーエージェント
(4751)
DX・広告・ABEMAグロース株円安:海外事業収益増(限定的)
円高:サーバー・広告費などコスト減
国内比率高く、為替影響は限定的
KDDI
(9433)
通信インフラ・安定収益バリュー株円安:海外事業収益増(限定的)
円高:通信設備・端末等の輸入コスト減
国内中心のため為替影響は小さい
西日本フィナンシャルHD
(7189)
地銀・金利上昇局面での収益改善バリュー株円安:保有外貨建資産の評価益増
円高:海外投融資コスト減
国内メイン、為替影響は限定的

2025年前半に株価が動きやすいと予想したこれらの銘柄のいくつかは、実際に大きな価格変動を見せ、受講生が「なぜ株価が動くのか」を体感できる絶好の教材となりました。

4-6月の株式市場に影響を与えた重要な出来事

市場全体の動向
4月上旬のトランプ関税ショックでスタートしましたが、6月後半には生成AIブームと半導体需要拡大が日本株市場を牽引し、日経平均株価は39,000円台に到達しました。

主要イベント

  • 5月:各社決算発表シーズン
    企業業績の明暗が個別株価に大きく影響
  • 6月中旬:G7サミット、日銀金融政策決定会合
    金融政策の方向性が株価全体に影響
  • 6月後半:米FOMC(連邦公開市場委員会)
    米国の政策金利動向が日本株にも波及
為替の影響

円安傾向が続き、海外展開企業や輸出企業にとって追い風となりました。

  • スシロー:海外事業の成長+円安による利益押し上げ効果
  • トヨタ自動車:輸出企業として円安メリットを享受
  • オリエンタルランド:インバウンド需要回復で円安が追い風
資産推移とパフォーマンス分析

6月末時点での資産増減(100万円でスタート)

受講生資産増減
赤点線は日経平均株価 ※授業日終値のみ
順位名前資産増加プラスインパクト理由
1位講師+33.4万円エニーカラー200株を決算前に購入
サイバーエージェントを決算前に購入
円高を予想しイオン購入
2位Sさん+30.8万円エニーカラーを5月初旬に200株購入
サイバーエージェントを決算前に購入
3位Tさん+21.4万円エニーカラーを5月初旬に100株購入
自分で調べて選んだNECが上昇中
4位Rさん+20.0万円スシローを5月初旬に100株購入
サイバーエージェントを決算前に購入
5位Aさん+16.7万円エニーカラーを5月初旬に100株購入
サイバーエージェントを決算前に購入

こうしてみると上位勢は、買いやすい株価(1,200-1,400円)だったサイバーエージェントおよびVtuber事務所ということからか受講生に人気だったエニーカラーが決算後の急騰したことで、資産が大幅に増加しました。

決算インパクト分析

エニーカラー(5032)の急騰要因

  • 決算発表日:2025年6月11日
  • 2025年4月期の経常利益が前期比31.4%増という大幅な増益を達成
  • 来期も2桁増益を見込む強気な業績予想を発表し、市場の期待を上回る内容
  • 主力のVTuber事業が国内外で順調に拡大し、成長ストーリーが鮮明に
  • 決算発表を受けて株価は決算前から1,000円以上上昇し、保有者の資産を大きく押し上げた

スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES/3563)の上昇要因

  • 決算発表日:2025年5月9日
  • 2025年3月期の純利益が前年比30%増と大幅な業績改善を記録
  • 通期業績予想の上方修正を発表し、今後の成長期待が高まった
  • 増配発表**により株主還元強化の姿勢を明確化
  • 海外事業の成長と円安効果が利益を大きく押し上げた
  • これらを好感し、株価は上場来高値を更新

サイバーエージェント(4751)の上昇要因

  • 決算発表日:2025年5月14日
  • 2024年度中間決算で増収増益を達成し、広告事業やABEMA事業の好調が際立った
  • インターネット広告市場の拡大や、動画配信・DX関連サービスの成長が業績をけん引
  • **AI・デジタル分野への積極投資**も評価され、将来の成長期待が株価を押し上げた
  • 決算発表後、株価は堅調に推移し、投資家の関心を集めた

各社とも決算内容や成長分野の好調さが株価上昇の直接要因となり、特にエニーカラーとスシローは決算直後に大きな値上がりを記録しました。サイバーエージェントも広告・メディア・AI分野の成長期待から堅調な推移を見せています。

2年目以上の生徒の挑戦

自主的な銘柄選定
2年目以上の生徒は、講師選定の8銘柄に加えて自分たちで調べた銘柄もポートフォリオ候補として挙げてもらいました。ただ、自分の銘柄を実際に購入した受講生は半分程度でした。

生徒が選んだ追加銘柄例

  • ヤクルト(2267)
  • 任天堂(7974)
  • NEC(6701)
  • オルツ(260A)※粉飾疑惑前
  • 阪急阪神ホールディングス(9042)

ChatGPTを活用した売買判断
2年目以上の受講生はChatGPTを使った売買判断も実施しています。テクニカル分析や決算分析などを中高生にもわかり易い表現になるようなプロンプトを講師が組み、売買時に受講生がその結果も判断材料にしています。AIを過信してはいけませんが、最新技術を上手に使えば、単なる「勘」よりも役立てることは可能です。

まとめ

4~6月の株式市場は、AIや半導体関連の成長期待、そして円安の進行を背景に日経平均株価が大きく上昇し、個別銘柄の決算内容も投資成績に大きな影響を与えました。特に、エニーカラーやスシローといった好決算銘柄は株価が急騰し、それを保有していた生徒の資産を大きく押し上げる結果となりました。

今後の日本や世界経済を見通す上では、米国の金融政策やトランプ大統領の動向、日銀の政策、さらには地政学リスクなどが重要なカギとなり、株式市場も大きく動く可能性があります。
このようなシミュレーションゲームを通じて、子どもたちはニュースや経済イベントが自分の資産や社会全体にどのような影響を与えるのかを実感し、世界経済への関心が自然と高まっています。

今後も実際の経済変動を体感しながら、社会や世界の動きに目を向けるきっかけとなる学びを大切にしていきます。