
教育情報メディア「ACTIVE!」x 社会経済ニュースメディア「キッズノミクス」共同企画
大学の経済・経営学部を探検!
関西大学 経済学部長
榊原 雄一郎 先生【第3部】
※第5部は
教育情報メディア ACTIVE! に掲載しています。
はじめに
こどもと一緒に楽習する教育情報メディア「ACTIVE!」と社会・経済ニュースメディア「キッズノミクス」では、「好奇心を刺激する学び」をテーマに記事の配信に取り組んでいます。
今回は両メディアの共同企画「大学の経済・経営学部を探検!」と題した特集記事をお届けします。

今回は、関西大学経済学部の榊原教授をお迎えし、経済学部の学びの魅力やカリキュラムの特色についてお話を伺いました。
地域経済論を専門とする榊原教授に、都市の発展や経済構造の違いを通じて「広い視野で社会を理解すること」の大切さを教えていただきました。また、関西大学ならではの教育環境やゼミでの学び、学生たちの就職先の動向についても触れ、現代の学生が持つ課題や未来の可能性についてもお伺いしています。
進路選びに悩む学生やその保護者の皆さんにぜひ読んでいただきたいインタビューです。
インタビューにご協力いただいた先生

榊原 雄一郎 先生
関西大学
経済学部 学部長
地域経済論を専門とし、都市の発展や産業集積に関する研究に取り組む。東北大学で経済学を学び、関西大学にて長年教育・研究活動を行い、地域経済の視点から日本各地の都市や産業の動向を探求。学生に経済の面白さを伝え、広い視野を持った社会理解を促す教育に力を注いでいる。
地域経済論と都市の成り立ち

学部長の地域経済コースについて、小中学生や高学部長の専門科目である地域経済論について、小中学生や高校生にもわかりやすく説明していただきたいのですが、経済学部で学ぶ地域経済とはどのような内容なのでしょうか?
榊原先生:例えば、九州ナンバーワン都市である福岡市の発展と課題について地域経済論の視点から話してみましょう。
福岡市は今、日本でもトップクラスの人口増加率を誇る人気のある街です。それは間違いないですね。ただ、「福岡市が日本第3の都市か?」と聞かれると、やっぱり名古屋市の方が経済的には確立されています。
名古屋市が優位である理由として、人口や所得や経済規模が名古屋市のほうがだいぶ大きいということに加えて、2つの都市の経済構造が大きく異なることが挙げられます。名古屋市は本社集積都市であり、独自の産業を持つ都市です。
一方で、福岡市は東京に本社を持つ企業が主要な支店を置く都市です。そういう意味で、福岡市は独自の産業が弱く名古屋は都市の構造がだいぶ異なります。

とてもわかりやすい例です。おっしゃるとおり、都市としての機能の違いを感じますね。
榊原先生:例えば、大阪の学生にこの話をする場合には、大阪市も日本第2の都市ですが、その立場が変わりつつあることも指摘します。大阪市は現在でも本社集積都市ですが、高度経済成長期に大阪発の企業ですら本社機能を東京に移していきました。
結果として、登記上は大阪に本社が残っているものの、その本社機能は実質的に東京に移っている場合が多いです。この状況で、大阪が観光業の発展を推進してもそれ自体は非常に重要なことではありますが、かつての東京と並ぶ本社集積都市であった時の大阪の復活が可能かというと、私は非常に難しいと考えています。
大阪市の都心では、インバウンド観光向けの超高級ホテルが次々と建設されていますが、こうした都市の華やかさの裏で、本社集積都市としての大阪市の地位は確実に低下しています。
大阪では大阪・関西万博に期待がかかっています。催しとしての大阪・関西万博の評価ではなく、こうしたイベントが都市の発展につながるかという点についていえば「瞬間的な経済効果がある」という話で終わるのではなく、それによって地域経済の構造がどのように変わるのかについての理解を促したいと考えています。


非常に面白いですね。学生たちにもわかりやすいと思います。
やはり、東京の一極集中という状況は、このまま続いていくのでしょうか?
榊原先生:日本の政府の大きさや、さまざまなことが縛られている状況が影響しています。
大学もがんじがらめだと感じることがあります。企業にとっても政府との調整が非常に重要です。東京に立地する方が有利な部分が多いのは、この政府との距離感も一因です。
人々の意識や都市への憧れも東京一極集中の要因の一つです。例えば九州の人であっても東京に憧れて進学や就職時に東京に出る人は非常に多いです。
さすがに東京まではいけないと思う人は福岡市に行く人が多い一方で、福岡市以外の他の県庁所在地などの都市に憧れ行きたいと思う人はそれほど多くありません。これは実際の住みやすさの違いというよりも人々の意識やイメージの違いです。
これは大学のピラミッド構造とも似ているところがあります。都市のピラミッドでも、やはり頂点に位置するのが東京です。「なぜ東京なのか」と言えば、他の人も東京を選んでいるから、という連鎖的な理由が強いのです。
その結果、福岡市のようなその地域のナンバーワン都市を別にしても、それ以外の地方都市は厳しい状況に置かれています。別に「東京じゃなければできないことばかり」というわけではないんです。
もちろん、東京でしかできないこともありますが、都市の二極化が進んでいるのは事実です。東京圏とそれ以外の地方都市という側面と、地方圏におけるその広域地域ナンバーワン都市とそれ以外2つの側面でです。
九州でいうと、福岡市とそれ以外の都市で明確に違う状況があります。
関西大学 経済学部長
榊原 雄一郎 先生 インタビュー
※第5部は
教育情報メディア ACTIVE! に掲載しています。
インタビューにご協力いただいた大学のご紹介
関西大学
大阪府吹田市山手町3丁目3番35号
関西大学は1886年に創立された歴史ある総合大学で、大阪府に複数のキャンパスを構えています。幅広い分野の教育を提供し、社会で活躍できる人材の育成に努めています。豊かな学びと多彩な経験を通じて、地域社会に貢献することを目指しています。
関西大学経済学部は、基礎から応用まで幅広い経済学の知識を学べるカリキュラムを提供しています。ミクロ・マクロ経済学やデータ分析など多岐にわたる科目が揃っており、少人数制のゼミで実践的なスキルを磨く機会も豊富です。現代の経済課題に対応できる人材の育成を目指し、学生の自主的な学びをサポートしています。