自給自足の難しさ:石油がどれだけ農業に必要か知ってる?
1kcalの米を作るのに2.6kcalのエネルギーが必要…エコノミストが畑仕事で気づいた「自給自足についての絶望」 「もはや、私たちは石油を食べているのだ」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
なぜ、日常品の物価高騰は止まらないのか。エコノミストの崔真淑さんは「石油など資源価格の上昇と円安の影響だが、今こそ政府に求めたいのは、食料安全保障とエネルギー安全保障が表裏一体であることを示す政策だ」という――。
最近、自分で食べ物を作る「自給自足」に興味を持つ人が増えています。でも、それが本当に簡単にできるのでしょうか?
今回は、自給自足とエネルギーの関係について考えてみましょう。石油がないと作物を育てられない理由について学びます。
農業と石油の関係
自給自足を考えると「自分で野菜を作ればお金を節約できる」というイメージがあります。でも、農業をするには多くの石油が必要です。
たとえば、1ヘクタールの田んぼを耕すには約60リットルの石油が必要だと言われています。
まず、畑を耕す「耕運機」や田植えをする「田植え機」、収穫する「コンバイン」はすべて石油で動きます。また、水の管理や農薬をまく機械も石油で動きます。このように、農業の多くの場面で石油が使われており、石油なしでは農業は成り立ちません。
肥料と石油
農業には肥料も欠かせませんが、肥料を作るためにも石油が使われています。化学肥料を作るには、石油や天然ガスを使って成分を作り出す必要があります。このプロセスには多くのエネルギーが必要です。有機肥料を集めるためにも石油が必要で、多くの肥料は外国から輸入され、輸送にも石油が使われています。
農業機械と石油の依存
米作りに使う機械も石油に頼っています。耕運機や田植え機、コンバインは石油で動きますし、これらの機械を作るときにも石油が使われます。金属を加工したり部品を作ったりする際にも石油が必要です。
石油なしで農業はできるの?
「石油を使わずに作物を育てることはできないの?」と思うかもしれません。
たとえば、太陽光パネルや植物由来の肥料を使う方法もありますが、それだけでは十分ではありません。ただし、一部の農家では太陽光発電を利用して農業機械を動かしたり、有機肥料を使った農法を進めたりしています。こうした取り組みは石油依存を少しずつ減らす助けになっています。しかし、完全に石油に頼らず農業を行うのはまだ難しいのです。
エネルギーと平和の関係
石油の値段が上がる理由には、戦争や国際的な対立といった「地政学リスク」が関係しています。
地政学リスクとは、地理的な位置や国際的な関係が原因で、経済や物資の流れに悪影響が出るリスクのことです。こうした状況では、エネルギーを安定的に得るのが難しくなります。食べ物を育てるためには、エネルギーの安定供給が必要であり、そのためには国際的な協力が欠かせません。
これからの農業とエネルギー
最近、「グリーントランスフォーメーション(GX)」という持続可能なエネルギーを増やす動きがあります。太陽光や風力などを使い、石油に頼らない社会を目指しています。しかし、すぐに石油を代替することは難しく、エネルギーと食料の安全を守るには世界的な協力が必要です。
まとめ
- 農業には石油が必要
- 耕運機、田植え機、コンバインなどの機械は石油で動く
- 肥料の生産と輸送にも石油が使われる
- 石油なしで農業を行うのは難しい
- エネルギーの安定供給には国際的な協力が必要
私たちが食べている食べ物がどのように作られているか、その背景にどれだけのエネルギーが使われているかを考えてみましょう。今後、石油に頼らずに食べ物を作る方法をどう見つけていけるのか、一緒に考えてみませんか?
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