日本企業の成績が低迷中?決算発表が示す現実

決算不振、日本株が一段と冷え込むリスク-予想未達は過去3年で最多 - Bloomberg

今夏以降、膠着(こうちゃく)感を強めてきた日本株浮上のきっかけになるのではないかと投資家の一部で期待されていた7-9月期の企業決算。だが、ふたを開けると予想外に低調で、米国のトランプ次期政権による関税発動の可能性や少数与党政権が招く国内政治の不安定化リスクも重なり、相場の救世主とはならなかった。

上場業は3カ月ごとに決算発表をします。この発表では、その企業がどれくらい儲けているか、今後どうなりそうかがわかります。
7月以降、日本の株価はあまり上がっていません。投資家たちは企業の決算発表で株価が上がることを期待していましたが、結果はそれほど良くありませんでした。

日本株と決算の関係

ここ数カ月、日本株は下がり気味です。企業の決算が株価を上げるきっかけになると期待されていましたが、7~9月期の業績は予想よりも悪く、株価の回復にはつながりませんでした。また、世界の政治リスクや関税の問題が市場に悪い影響を与えています。

決算結果と業界の動き

TOPIXに含まれる企業のうち、7~9月期の純利益が予想を下回った企業は全体の58%で、過去3年間で最も高い割合です。特に自動車業界は、中国の電気自動車(EV)メーカーとの競争や需要の低迷が影響しています。

日産自動車は営業利益の見通しを下げ、人員削減や生産能力の削減を発表し、株価が急落しました。他の大手自動車メーカーも業績が悪化し、株価が下がりました。

業績修正を行った企業

2024年11月13日現在、東京証券取引所プライム市場に上場している大企業の中で、業績を上方修正(業績が良くなると見込んで予測を上げること)した企業と下方修正(業績が悪くなると見込んで予測を下げること)した企業を5社ずつ紹介します。

上方修正企業

  1. サンリオ (8136)
    • 業種: 小売業
    • 理由: 人気キャラクター戦略の成功、グッズ販売やテーマパークの好調、外国人観光客の増加
    • 修正: 30億円UP
  2. TDK (6762)
    • 業種: 電気機器
    • 理由: 高価な二次電池の売上増加、スマートフォン向けセンサーの売上アップ
    • 修正: 50億円UP
  3. 住友電工 (5802)
    • 業種: 非鉄金属
    • 理由: 自動車関連事業の好調、電力インフラ向け需要の増加
    • 修正: 40億円UP
  4. 京セラ (6971)
    • 業種: 電気機器
    • 理由: 電子部品の安定した需要、コスト削減の効果
    • 修正: 25億円UP
  5. KADOKAWA (9468)
    • 業種: 情報・通信業
    • 理由: サイバー攻撃の影響が軽微、デジタルコンテンツの好調
    • 修正: 15億円UP

下方修正企業

  • 日産自動車 (7201)
    • 業種: 輸送用機器
    • 理由: 世界的な自動車の需要低迷、中国のEVメーカーとの競争激化
    • 修正: 40億円DOWN
  • ホンダ (7267)
    • 業種: 輸送用機器
    • 理由: 中国市場での販売不振、為替の影響
    • 修正: 35億円DOWN
  • スバル (7270)
    • 業種: 輸送用機器
    • 理由: 北米市場での販売減少、原材料費の上昇
    • 修正: 20億円DOWN
  • マツダ (7261)
    • 業種: 輸送用機器
    • 理由: 新興国市場での販売不振、コストの増加
    • 修正: 15億円DOWN
  • デンソー (6902)
    • 業種: 電気機器
    • 理由: 自動車部品の需要減少、半導体不足の影響
    • 修正: 10億円DOWN
業績悪化の背景

円安は普通、輸出企業にとってプラスです。輸出品が安くなり、売上が増えるからです。でも、自動車業界にはそのメリットがあまりありません。

  1. 需要が少ない: 世界的に自動車の需要が減っていて、中国や新興国での売上が伸びていません。
  2. 競争が激しい: 中国の電気自動車(EV)メーカーとの競争が激しく、ガソリン車の販売が減っています。
  3. コストが増えている: 原材料費や半導体不足が原因でコストが上がり、利益が減っています。
  4. 部品の供給が遅れている: サプライチェーンの問題で部品が届かず、生産に影響が出ています。
  5. 環境対応の遅れ: 環境に優しい技術の導入が遅れていて、競争力が下がっています。

また、中国市場での売上減少、人件費や原材料費の上昇、円安も業績に悪影響を与えています。2020年から良くなっていた業績がまた悪くなっています。

ポジティブな面

しかし、日本株にとって良い材料もあります。企業の自社株買いが過去最高水準に達し、株価を支える要因となる可能性があります。自社株買いとは、企業が自分の株を市場から買い戻すことで、株価の下落を防ぐ効果があります。

また、企業の営業利益は安定していて、一時的な費用や為替の影響で利益が減少しても、主要な事業の収益は安定していると見られています。

まとめ
  • 7~9月期の決算は予想を下回り、日本株の回復にはあまりつながっていない
  • 自動車業界が業績悪化の主な原因で、日産などの企業が業績を下方修正
  • 円安や中国市場の不調が業績に悪影響を与える
  • 企業の自社株買いが過去最高水準で、株価の支えになる可能性
  • 成長分野に強い企業は業績が伸びる一方で、コスト増加への対応が遅れた企業は苦戦

提案
上場企業は3ヶ月ごとに決算発表をします。これを見れば、日本を代表する企業がどんな成績を出しているか、今後どうなるかが少し見えてきます。
例えば、自分の好きな企業の決算発表を読んでみると、その会社や日本経済の未来についてヒントを知ることができるでしょう。ぜひ気になる企業を調べてみませんか。

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